立派な欲望 ページ27
✳︎
天変地異でも起こったか。
それとも、今日が地球最後の日か。
突然こんなことを言うのはおかしいと分かっている。
だけど、
『恵、ちゅーしよう』
だけどそうじゃなかったら、たった今目の前でこんなことを言う彼女の説明がつかないのだ。
「…………は？」
『だから、ちゅーしよ』
「………」
『え、何？恵どこ行くの？？』
「…家入さんのとこ。オマエなんか厄介な術式食らっただろ」
『待って待って、食らってないよ!!』
「じゃあ熱か。今体温計持ってくるから──」
『ちがーう!!違う違う、熱でもない!私元気だよ!』
「……なんだ。じゃあ本当に今日で地球終わんのか」
『まじでなに言ってんの？』
まじで何言ってんのはこっちのセリフだ。
なぜか怪訝な顔をこっちに向けてくるAを見て、伏黒は無愛想に歪む眉を寄せた。
伏黒の苦悩も知らず、首を傾げる彼女の動きに合わせてひらりと紺色のスカートが揺れる。
それに合わせて、伏黒の眉間は複雑な心境と共に歪む。
「……なんだ、その格好」
『あ、これ？』
そう言って、Aは嬉しそうに白の生地の上によく映える赤いスカーフを摘んだ。
『いいでしょ、セーラー服!今日の任務で女子校に潜入するとき使ったの。そこの人がせっかくだから持って帰っていいよって』
「セーラー服のスカートってそんなに短いのか」
『ううん折ってんの。みんな長すぎるんだもん』
「潜入先で目立ってどうすんだ」
『みて、巻きすぎてお腹ドーナツみたいになってんの』と服を捲りながら笑うAに、密かに頭を抱える伏黒。
伏黒の母校である浦見東中は男女共にブレザー、高専は学ランなのでセーラー服とは縁がなかった。
改めて見ると見慣れないせいか何だか新鮮で、初々しさや彼女の純粋さを際立たせる白地のシャツに胸がドキドキと高鳴る。
つまりすごく似合っている。可愛い。
それは着ているのが長年拗れた片思い相手だからというのが九割だろうけど。
「(……なんかいいな)」
高専の学ランなんか着なければ、彼女はこんなにも普通の女子高生なのだ。
彼女の尊い命をこんな戦いに懸けずに済む、そういう未来もあったかもしれないと思うと胸が痛かった。
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hn(プロフ) - 占いツクールの中でいちばんお気に入りの作品です。毎日読み返しています(笑) 無理なさらずに主様のペースで更新頑張って下さい、応援しています！大好きです！！ (12月1日 14時) (
レス) id: de7f57f322 (このIDを非表示/違反報告)
るる - いつも読ませてもらってます！今ユニバとコラボでハリドリとかあるんですけ、ユニバに行く1年ズと五条先生と夢主ちゃんでなんか書いて欲しい。お願いします！リクエストです。 (10月22日 16時) (レス) id: ce86603420 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - kittoN0さん» コメントありがとうございます❕長らく返信せずに申し訳ありません。更新が無い間なのにコメントを残して下さり、数々のお褒めの言葉、お気遣い凄く嬉しいです。ご期待に沿えるような作品になるようとにかく地味に進めますので、どうぞよろしくお願い致します…!! (10月22日 1時) (レス) id: 64806ac4ef (このIDを非表示/違反報告)
kittoN0(プロフ) - こんなに綺麗で、儚くて、そんな作品は初めて出会いました。もうこのサイトにきてから10年ほど経ちますが、原作のあるお話とはいえ、あなたの言葉遣いや表現の描写がとても美しくて感動しました。またお時間があるときにでも更新してくださいね。 (9月21日 8時) (レス) @page23 id: c5fc518b9f (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - あんずまめさん» コメントありがとうございます❕アニメの渋谷事変が始まったら、また地道に進めようと思っています!気長にお付き合い頂けますと幸いです😖 (6月5日 1時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とま | 作成日時：2022年10月23日 0時
