165話 ページ15
そしてまた、ヴォルデモートの杖先から影が現れた。
一目見た瞬間にそれが誰なのか分かった──ハリーが幼い頃から、その人を何度思い浮かべたか。
長い赤い髪を垂らした、若い女性の影がハリーのそばに立って、ハリーを見つめた。
杖を持つ手が震えている、限界だ──杖を離したい──いや、離さない。
ハリーも、その女性を見つめ返した。
「お父さんが来ますよ……お父さんの為にも頑張るのよ…大丈夫…頑張って……」
母は静かに言った。そして母の言う通り、すぐにまた影が飛び出した。
背が高くて、自分と同じクシャクシャの髪──ジェームズ・ポッターの影だ。
父もハリーのそばに立つと、ヴォルデモートには聞こえない程の低い声で言った。
「繋がりが切れると、私たちはほんの少しの間しか留まっていられない……それでもお前の為に時間を稼いであげよう」
「……!!」
「……移動キーの所まで行きなさい。それがお前をホグワーツに連れ帰ってくれる………ハリー、分かったね？」
「──はい」
杖を必死で掴みながらハリーは答えた。
「ハリー」
セドリックだ。
「僕の身体を連れて帰ってくれないか？僕の両親のところへ……それと──」
セドリックが言葉を切って、ハリーを見た。
「───ハリー………頼んだ」
「分かった」
彼が続けたかった言葉が、ハリーには分かった。
「さあ、やりなさい……」
「切りなさい。ハリー…大丈夫よ……切りなさい」
父と母に応えるように、ハリーが叫んだ。
どっちにせよ、もう杖を握っていることはできなかっただろう。
渾身の力で杖を上に捻り上げると、繋がっていた光が切れた。
走った──これ以上ないと言うほど、走った。
足を引き摺りながら向かったハリーの手がセドリックを掴んだ。
しかし、優勝杯に手が届かない──……
怒り狂ったヴォルデモートの顔が、暗闇の中でニヤリと笑うのを、一瞬見た。
「──
ハリーは優勝杯に杖を向け、叫んだ。
優勝杯がスッと浮き上がり、ハリーに向かって飛んでくる──その取っ手を掴んだ。
ヴォルデモートの怒りの叫びが聞こえたと同時に、ハリーは身体がグッと引っ張られるのを感じた。
キーが作動したのだ。
風の渦の中、移動キーはハリーを連れ去った。セドリックも一緒に。
帰るのだ──ホグワーツ城に、二人で──。
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黒猫_Kurone - 2人の仲がいいことがわかるイラストでめちゃ好き…。番外編も面白くて、わくわくしながら読んでます！作者さん、素敵な作品とイラストを提供していただきありがとうございます！！ (6月17日 15時) (
レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
黒猫_Kurone - ダンスパーティーで、フレッドの活躍や、主人公ちゃんがハリーの目の色に合わせて、ドレスを選んだというシーンとかめちゃ好きです！閑話のハリーと主人公ちゃんのイラストで、ハリーかっこよすぎて惚れるし、主人公ちゃん、天使…めちゃかわいい…(チーン (6月17日 13時) (レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - ダイアナさん» コメントありがとうございます❕セドリックの最期は本当に切ないですよね😖 (6月5日 0時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - セドリックｳｳｳｳｳｳｳ (2023年3月3日 6時) (レス) @page30 id: 43545663d6 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みのみのさん» コメントありがとうございます❕私も、この炎のゴブレットがハリー・ポッター作品の分岐点のようなお話だと思っているので、とても嬉しいです!!イラストを公開するのが何気に一番緊張するので、ドンピシャと言っていただけると本当に安心します😖 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とま | 作成日時：2022年9月15日 17時
