164話 ページ14
決してヴォルデモートに、そして死喰い人達にも聞こえないように呟いた。
僕にとって彼女がどれほど大切か気づかれたら、ヴォルデモートは彼女を狙うかもしれない。
自分でも驚くほどスルリと口から出ていた、その名前に涙が出そうになった。
例え磔の呪文をかけられても、足があらぬ方向に曲がっても流さなかった涙が、彼女を思えばこんなにも簡単に流れてしまうのか。
死ぬ、死ぬんだ。ここで終わりだ。ただ一つ、死にたくない理由を挙げるとすれば、A──……
「(──僕は君より先に死ぬのか)」
愛しい僕の好きな人、どうか僕が死んだことには気づかずに、忘れてくれ。
「(──なんて)」
なんて残酷な願いだろう。忘れることのできない彼女に願うのは、あまりにも酷いだろうか。
僕が死んだ後も、Aが僕のことを覚えていてくれるなら、せめて──。
子供の隠れんぼのようにここにうずくまったまま死ぬものか。
ヴォルデモートの足元に跪いて死ぬものか。
最期まで、父さんのように立ち向かって死ぬんだ──グリフィンドール生としての誇りを胸に、僕は闇の帝王に立ち向かって死ぬ。
「(A………君の中の僕とセドリックを、勇敢なまま終わらさせてくれ)」
ハリーは立ち上がった。
杖をしっかりと握りしめ、体の前に構え、墓石をクルリと回り込んでヴォルデモートと向き合った。
「──エクスペリアームス!!!!」
「──アバダ ケダブラ!!!」
ハリーの赤い閃光と、ヴォルデモートの緑の閃光が空中でぶつかり合った。
死の呪文と武装解除呪文では、呪文の格が違いすぎる。勝てるはずはない──しかしその時、予想もしていなかったことが起きた。
ハリーの杖とヴォルデモートの杖が繋がったのだ。
ハリーの手は杖を握ったまま動かなかった。離したくても離せない。
混乱しながらも相手の魔法に負けまいと杖に力を込め続けていると、向こう側で、ヴォルデモート顔が動揺するのが見えた。
何が起こった──？そう思ったのは束の間、ハリーが杖を取り落とすとしたら、多分この時だっただろう。
ヴォルデモートの杖先から、セドリックの影のようなゴーストが現れたのだ。
セドリックの影はその場に立ち、ハリーを見つめて口を開いた。
「ハリー、頑張れ」
その声は遠くから聞こえて、反響した。
再び杖に力を入れ直して前を見ると、ヴォルデモートも大きく目を見開いて驚愕していた。
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黒猫_Kurone - 2人の仲がいいことがわかるイラストでめちゃ好き…。番外編も面白くて、わくわくしながら読んでます！作者さん、素敵な作品とイラストを提供していただきありがとうございます！！ (6月17日 15時) (
レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
黒猫_Kurone - ダンスパーティーで、フレッドの活躍や、主人公ちゃんがハリーの目の色に合わせて、ドレスを選んだというシーンとかめちゃ好きです！閑話のハリーと主人公ちゃんのイラストで、ハリーかっこよすぎて惚れるし、主人公ちゃん、天使…めちゃかわいい…(チーン (6月17日 13時) (レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - ダイアナさん» コメントありがとうございます❕セドリックの最期は本当に切ないですよね😖 (6月5日 0時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - セドリックｳｳｳｳｳｳｳ (2023年3月3日 6時) (レス) @page30 id: 43545663d6 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みのみのさん» コメントありがとうございます❕私も、この炎のゴブレットがハリー・ポッター作品の分岐点のようなお話だと思っているので、とても嬉しいです!!イラストを公開するのが何気に一番緊張するので、ドンピシャと言っていただけると本当に安心します😖 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とま | 作成日時：2022年9月15日 17時
