172話 ページ22
ハリーが掠れた声で言った。
ムーディに目線を向けながら、杖を取り出すように、背後のAにローブのポケットをトントンと叩くジェスチャーで合図をした。
「水の中で開けろとセドリックに教えたのは誰だ?それは、俺だ。セドリックがお前にそれを教えるに違いないと、確信があった。ポッター、誠実な人間は扱いやすい」
青い義眼をハリーに近づけてそう言った。その瞬間、Aが歯を食いしばったのが分かった。
この人が……ダンブルドアの友人で、有名な"闇祓い"のこの人が、多くの死喰い人を捕らえたというこの人が──手助けをした?
僕に間接的に教えるために、セドリックに卵の謎を教えたのか?
ホグワーツに潜むデスイーターは、この人だったのか──?
「お前を勝たせたのは、俺だ。今夜あの墓場に辿り着くように仕向けたのだ」
ほとんど正気を失った様子で囁いたムーディは、ハリーの右手の袖を捲り上げて、傷から血を抉るように掴んだ。
ハリーの呻き声にAが椅子から弾かれたように立ち上がった。
セドリックのことを言われた後から、ムーディが喋る度に奥歯を噛み締めていたAはついに我慢の限界だった。
青い義眼に杖を向けた彼女の純白の髪は、怒りで逆立っているようにも見えた。
「あの方はどんな褒美を下さるだろう……この俺がハリー・ポッターを、永遠に黙らせたと…お知りになったら……!!!」
『手を離せ!!!!ハリーを──離せ!!!!』
「小娘如きは黙っていろ!!!」
喉を揺らす勢いで叫んだAに叫び返したムーディがハリーに向けていた杖をAに向けた。
その杖から何の呪文が放たれるのか──今のハリーには一瞬で分かった。
「やめろ───!!!」
『エクスペリアームス!!!!』
「クルーシオ──!!!」
磔の呪文が放たれた──対してAは、武装解除呪文だ。
Aはムーディが禁じられた呪文を唱えたことに一瞬驚いて力が杖に十分に込められていない。
それに、彼女は一緒に練習した時しか武装解除呪文を使ったことはない──。
考える前にハリーはAをムーディの杖先からAを逃れさせようとしていた──それでも、遅かった。
狭い部屋の中で耳を劈くほど痛々しく響く悲鳴。
目の前で、Aがあまりの苦痛に倒れ込んだ。
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黒猫_Kurone - 2人の仲がいいことがわかるイラストでめちゃ好き…。番外編も面白くて、わくわくしながら読んでます!作者さん、素敵な作品とイラストを提供していただきありがとうございます!! (6月17日 15時) (レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
黒猫_Kurone - ダンスパーティーで、フレッドの活躍や、主人公ちゃんがハリーの目の色に合わせて、ドレスを選んだというシーンとかめちゃ好きです!閑話のハリーと主人公ちゃんのイラストで、ハリーかっこよすぎて惚れるし、主人公ちゃん、天使…めちゃかわいい…(チーン (6月17日 13時) (レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - ダイアナさん» コメントありがとうございます❕セドリックの最期は本当に切ないですよね😖 (6月5日 0時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - セドリックウウウウウウウ (2023年3月3日 6時) (レス) @page30 id: 43545663d6 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みのみのさん» コメントありがとうございます❕私も、この炎のゴブレットがハリー・ポッター作品の分岐点のようなお話だと思っているので、とても嬉しいです!!イラストを公開するのが何気に一番緊張するので、ドンピシャと言っていただけると本当に安心します😖 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とま | 作成日時:2022年9月15日 17時