男子校なのにモテ期がきてしまった！ ページ27
何故俺の周りはこうも唇を押し付けたがるのだろうか。
「おい！！てめぇ何してくれてんだこらぁ！！」
「こいつ許さねぇ」
何処から湧いて出たのか、今朝には居なかった十神が佐久間の肩を掴み俺から引き離す。
その背後から殺気立った舜が俺を後ろから抱き寄せた。
「あかん、お前何人誘惑してんや…」
十神によって引き離された佐久間は、俺を見ながら呆れたようにそう言う、
勝手に寄ってくるだけなんですが！？
そう思いはしたが、何故だか溜息を吐きながら十神の手を払う佐久間に申し訳なさが湧き出てきて
「すまん…」
気付けばそう呟いていた。
背後に居る舜も、目の前に居る十神も、目を見開き俺の方向を見る。
信じられない、そんな表情だった。
「何だよ、その顔！！」
「え、何でAが謝ってんの？」
「お前Aに何した」
十神は俺の肩を掴み心配そうに頭を撫で始め
舜は佐久間の胸倉をまたしても掴み、殺意に満ちた顔で殴りかかろうとする。
何故こうなる！！！
いい加減、我慢の限界だった。
「お前らいい加減にしろ！！これ以上喧嘩するなら一生口聞いてやんねぇからな！！いくぞ佐久間！！」
俺は舜の手を佐久間から退け、手を掴み歩き出した。
背後で泣きわめく十神と、傷ついたような表情をしている舜に、何故だか心が痛んだ。
そんな俺の様子を隣にいる佐久間はジーッと見ていた事に俺は気が付かず、そのら辺にあった空き教室へと連れ込んだ。
静寂が包むその部屋に、俺の声が響く。
「ごめん佐久間、迷惑かけ」
頭を下げて謝罪の言葉を口にしたその瞬間、佐久間は俺の肩を掴み机へと押し倒す。
驚いた俺は声も出ず、ただ佐久間の表情を見ていた。
「あんたさ、危機感ないな」
薄く唇を開いた佐久間が笑っていた。
俺の頬に手を滑らせ、そう呟く。
「は？」
「普通キスされた相手を誰も居ない所に連れ込むか？」
その言葉でハッとした。
喧嘩の事で頭から抜けていた現実が、今鮮明に思い出される。
ヤバい！！
そう頭で直感した時には遅く、佐久間は俺の服へ手を滑らした。
ズボンのベルトを外す音がする。
「ちょっ、待て！！何してんだお前！！」
咄嗟に手を掴むものの、佐久間の力には叶わずすんなりと振り払われ
それと共にベルトが外れる。
ズレるズボンを必死の思いで掴み、佐久間を睨み付けた。
その途端佐久間はふっと笑い、俺から退く。
「好きなんやろ舜君が、ちゃんと言いや」
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作者名：yuno | 作成日時：2018年12月31日 11時
