男子校なのにモテ期がきてしまった！ (ページ17)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:85,171 hit

男子校なのにモテ期がきてしまった！ページ17

足取りが重い…
あんなに怒鳴っといて帰れるわけがないだろ…

十神と別れた後、暗くなりだした空、いい加減帰らないと心配させてしまうかもしれない。
そう思い帰り道を歩いているのだが、帰る気になれなかった。

家が近付く度、心が折れそうになる。

はぁ…何であんな怒鳴ったんだ俺。

玄関の手前、ここで立ち止まってる訳にもいかない。
大きく深呼吸した後、手前にある扉を開く。
と

｢Aくん？｣

ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞそう言わんばかりに、玄関前で仁王立ちしてるおばさんが俺を睨みつけていた。
鬼のような顔に怯んでしまうが、おばさんは心配してくれていたのだと思うと自然と頭が下がってしまう。

｢すんません、遅くなりました｣

｢何で何も言わずに出て行くの！心配するでしょ！？遅くなろうと構わないけれど一言言いなさい！！｣

おばさんは優しく俺の頭を撫でた。
声を荒らげながらも触れる手は優しくて…

って待て、彼奴は何処に居るんだ？
あいつの事だから俺が返ればすぐに寄ってくるはずだと思ったんだが…

｢舜は？｣

｢舜？今日は帰って来ないわよ、取り敢えずお風呂入りなさい｣

帰って、来ない？
まさかあの女と1晩を共にするつもりなのか？

胸がザワつく。

モヤモヤする心はお風呂に入ろうとも拭えることはなく、ご飯を食べてもおばさんと話してても1晩寝ても
解消される事は無かった。

そして舜と顔を合わせることも無いまま、俺は初バイトを迎えることになった。

｢助っ人の緒方A君です、皆色々教えてあげてね、特に佐久間君、意地悪とかするんじゃないよ？｣

店長の前に立たされた俺は、皆の前で愛想笑いを振りまいた。
てか意地悪って何？佐久間くんって誰？

｢先輩は俺の事なんやと思ってんすか、しませんて仲良くしよな、えーっと鈴木君？｣

｢緒方です｣

｢ああ！緒方君、名前覚えんのは苦手やし堪忍やで｣

早速個性的というかなんというか、気の強そうな男が出てきた。
俺の手を握りブンブンと握手した後、ひとりでに去っていく。

何彼奴！？

佐久間くんの事が気になりながらも、仕事を進める後、分からない事が多々出てきた。
が

何でこんな時に十神は休み取ってんだよ！！

俺は渋々佐久間くんとやらに教えてもらう事にした。