プロローグ ページ1
中学時代夢に見た彼女をゲットする、という願望。
その夢はまさに今、儚く散って行くのであった。
「男子校!?」
「そう、お父さんの会社が倒産しちゃってね、学費の安い学校はその男子校しかないのよ、ごめんねAちゃん」
「ふっざけんじゃねぇ!!俺がっ、俺がどんだけ頑張ってきたと…っ!!」
「いいじゃない、女の子の1人や2人Aちゃんはカッコイイからすぐに彼女できるわよ」
共学の名門高校に通っていた俺はこの日の寸前まで1人の女の子といい感じだったのだ
いい感じだったのに…転校なんて
男子校って事は、男子しかいない!?
そんな重大で俺としては最悪な出来事だというのに、この母は笑いながらAちゃんはカッコイイAちゃんならできる、と
簡単に言いながら手を握って…
ふざけんなよ!男子校なのに彼女なんて出来るわけないだろ!!
「男子校なんてごめんだ、別の高校なら行ってやっても」
「Aちゃん、ごめんなさい」
思わず握り返した手に力が入る、母がごめんなさいと言う時はろくでもない事が起きる前兆だ。
現に今、父さんの会社が倒産した。
「もう、手続きしちゃった☆」
ほらな、ろくでもない、人の許可など関係なしに手続きしやがって
俺は思わず大声で母を怒鳴りつける
「…ふざけんなよ!俺の許可無しに手続きしてんじゃね」
「そうそうAちゃん」
だが、全く俺の話を聞きやしねぇ
「舜くん居たでしょ?ほらお隣だった!その子がねぇ、その高校に通ってるらしいのよ、本当にもうかっこよくなっちゃってねぇ!」
「…は?」
佐賀舜、幼稚園の時からの縁で中学前半までは共に過ごして居たが、俺の転校がきっかけで離れ離れになってしまった。
舜と書いてゆずると読む、個性的な名前だからすぐに覚えた。
だが、彼奴が男子校に…まあ、あいつが居るなら行ってやっても
「…行ってやってもいい」
「きゃっ、本当に大好きねぇ」
「は、どんな面してるか見に行ってやるだけだ、で、いつからだよその学校は」
「今日よ?」
「…早く言えよ!!もう昼だぞてめぇ!!」
「だ、だってAちゃんが…」
母は本当に抜けている、天然というかなんというか
俺が制服に着替えている間も、AちゃんがAちゃんがと涙目で俺の手を握ってくる辺り可愛い母だとは思うが
時に面倒な事になるから本当にその性格は勘弁して欲しい。
兎に角遅刻してる、早く行かなくては
「早く車出せよ」
「え?売ったわよ?」
「…お前なあ!!」
154人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:yuno | 作成日時:2018年12月31日 11時