32:そくばく、おうじ ページ34
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まふくんが、ジリジリとこちらへ近づいてくる。
至近距離まで来ると、まふくんは逃げない私に対して苛立ちを見せた。
「…なんで逃げないの?」
「…え?」
「俺に何かされるとか、思わないわけ?」
まふくんが初めて自分のことを俺といった。
いつもとは明らかに口調が違うまふくんが少し怖くなった。
「でも……まふくんは、友達でしょ?」
私がそうやって、まふくんをみると
私に見つめられたまふくんは「はぁ、」とあからさまに大きなため息をついて、
前髪をかきあげた。
長い髪で見えなかった瞳が、顕になる。
「なめられてるなぁ、俺」
いつもよりずっと低い声で言った、まふくんの瞳は、冷たかった。
「こんな事されたんでしょ、」
「ちが、」
「見てたよ。……俺に嘘つくの?」
「……っ、」
わざと耳元で話すまふくん。
まふくんの息が耳にかかり、背筋に戦慄が走る。
思わず体を震わせると、まふくんはそんな私を見て嬉しそうに笑った。
「Aちゃん、俺のこと舐めてるでしょ。」
「……なめてな、」
「ほかの男と目を合わせたり、喋ったりしちゃダメ。言ってることわかる?」
「……」
私がこくり、と頷くと
まふくんはそんな私の頭を撫でてから、
「カバン持ってくる」と言ってその場を去っていった。
私は腰が抜けて、ヘナヘナとその場に座り込む。
───── 柄にもなく、ドキドキした。
「束縛王子め……」
力なくそう言ったけど、そんな言葉は暗くなった空に包まれるように消えていった。
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山下(プロフ) - ゆんたさんの作品が大好きで一文字でも多くゆんたさんの書く文章が読みたいです。もし宜しいのであれば続編を読みたいです。 (3月31日 3時) (レス) id: 12bd432e17 (このIDを非表示/違反報告)
めぞぴあの(プロフ) - 続編、読みたいです… (8月30日 19時) (レス) id: 269b094ab0 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 続編読みたいです!!!!!!!!!!!!!!!!! (2023年3月25日 9時) (レス) id: 0407d7412e (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - コメント失礼致します。この作品、好みドンピシャです…!ここまで刺さる作品今まで読んだことがなかったので読んでいてとても楽しかったです! (2022年12月31日 17時) (レス) id: cb0bd95209 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃん(プロフ) - コメント失礼します。最高の作品でした。今はパスワードがあって見られませんが、いつか全体公開にしてくださる日を待ってます!!!いつか続編見たいです! (2022年10月31日 23時) (レス) id: 3a7614e975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆんた | 作成日時:2018年6月19日 19時