64話 ページ18
向井 side
向井「A、ちょっとえぇ?」
いつものレッスン室、俺の顔を見た瞬間優しく微笑んで頷く。Aにはもうバレてるんだと思う。
壁によっかかるように座るとその隣に座るA
少し頭をAの肩にのっけると答えるように俺の手を握ってくれる。
向井「…疲れた」
Aの匂いと温もりを感じると、中々いえなかった弱音が嘘のように言葉として出てくる
「うん。」
向井「…1人ってこんなに寂しいんやなぁ……」
「そうだね…」
グループが解消され、時間は過ぎて1人での活動に慣れた。
それでもあの時の記憶はあせなくて、背中を預けられる相手がいる心強さを感じた。
隣にいるAは慰めるわけでもなく、優しく手を握りながら話を聞いてくれる
向井「…A」
「うん」
向井「…俺…怖い…」
「うん」
Aに泣きじゃくりながら抱きつくと優しく背中をさすりながら抱きしめてくれる
1人になって、どんどん先輩達はいなくなって、後輩達が増えていく。
先輩達の代わりに俺が前にでて引っ張らなくてちゃいけないんやと嫌でも思い知らされる。
そのプレッシャーは想像していたよりも重くて。そんな時に聞こえてくるのは俺らのことを焼け野原だと呼ぶ声。
その事がますます俺らを苦しめて縛り付ける。
向井「…っ…A…。」
「康にぃ、覚えてますか?私に言ってくれた言葉」
向井「…っ?」
「辛くなったら2人で泣けばええやんって、言ってくれたの覚えてませんか?」
向井「…っ…覚えてる…」
まだ小さかったAは1人で恐怖と戦って、感情を押し殺すように隠れて泣いていた日。
そんなAを守りたくて伝えた言葉。
「私あの言葉に本当に救われて…笑」
あの時以降、時々俺を呼んでくれるようになって。
まだ、1人で泣いているのかもしれないけど。
それでもその数を減らせただけでもよかった。
「私も康二君が辛い時は一緒にいたいねん。康にぃがしてくれたように、わたしにも支えさせてほしい。」
「私やって前よりは、康にぃ支えられるくらい成長したんやで?笑」
向井「A…」
「康二君にはうちがいる。1人やないで?寂しい時は、いつだってうちんとこきてくれればええんよ」
「大切なお兄ちゃん慰めるのは妹の役目やから笑」
向井「…なんやそれ笑」
「ふふ笑康二君はいつもうちのこと守ってくれるから、私が康二君守る」
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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年5月22日 13時