検索窓
今日:1 hit、昨日:14 hit、合計:105,554 hit

64話 ページ18

向井 side


向井「A、ちょっとえぇ?」


いつものレッスン室、俺の顔を見た瞬間優しく微笑んで頷く。Aにはもうバレてるんだと思う。
壁によっかかるように座るとその隣に座るA

少し頭をAの肩にのっけると答えるように俺の手を握ってくれる。


向井「…疲れた」


Aの匂いと温もりを感じると、中々いえなかった弱音が嘘のように言葉として出てくる


「うん。」

向井「…1人ってこんなに寂しいんやなぁ……」

「そうだね…」


グループが解消され、時間は過ぎて1人での活動に慣れた。

それでもあの時の記憶はあせなくて、背中を預けられる相手がいる心強さを感じた。

隣にいるAは慰めるわけでもなく、優しく手を握りながら話を聞いてくれる


向井「…A」

「うん」

向井「…俺…怖い…」

「うん」


Aに泣きじゃくりながら抱きつくと優しく背中をさすりながら抱きしめてくれる


1人になって、どんどん先輩達はいなくなって、後輩達が増えていく。

先輩達の代わりに俺が前にでて引っ張らなくてちゃいけないんやと嫌でも思い知らされる。


そのプレッシャーは想像していたよりも重くて。そんな時に聞こえてくるのは俺らのことを焼け野原だと呼ぶ声。

その事がますます俺らを苦しめて縛り付ける。



向井「…っ…A…。」

「康にぃ、覚えてますか?私に言ってくれた言葉」

向井「…っ?」

「辛くなったら2人で泣けばええやんって、言ってくれたの覚えてませんか?」

向井「…っ…覚えてる…」


まだ小さかったAは1人で恐怖と戦って、感情を押し殺すように隠れて泣いていた日。

そんなAを守りたくて伝えた言葉。


「私あの言葉に本当に救われて…笑」


あの時以降、時々俺を呼んでくれるようになって。
まだ、1人で泣いているのかもしれないけど。

それでもその数を減らせただけでもよかった。


「私も康二君が辛い時は一緒にいたいねん。康にぃがしてくれたように、わたしにも支えさせてほしい。」

「私やって前よりは、康にぃ支えられるくらい成長したんやで?笑」

向井「A…」

「康二君にはうちがいる。1人やないで?寂しい時は、いつだってうちんとこきてくれればええんよ」

「大切なお兄ちゃん慰めるのは妹の役目やから笑」

向井「…なんやそれ笑」

「ふふ笑康二君はいつもうちのこと守ってくれるから、私が康二君守る」

65話→←63話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (155 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
646人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:向日葵 | 作成日時:2022年5月22日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。