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北「じゃあ、俺はこれで！」
高「うん。ありがとね」
松村さんは去ろうとして、一度立ち止まり
先ほどのリップを
私の羽織ってるシャツのポケットに放り込んだ。
そして私に向けてウィンクした後
颯爽と人混みに消えて行った…
「……今の、何…？」
『あぁ、リップです。松村さんが塗ってくれて』
「は？！、塗ってくれた…？」
『あ、はい。トイレで着替えてたんですけど
トイレから出てきたら塗ってくれて…』
「………」
すると高地さんは私のポケットに手を入れ
リップを取り出し蓋を取った。
新しいリップだろう、先の形もまだ新品だ。
赤に近いピンクといったところか。
「…こっち向いて」
『え？はい』
そう言われたので高地さんの方に向くと
―――今まで見たこともないような
真っ直ぐな瞳で見下ろされた。
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作者名：ゆづり | 作成日時：2020年10月17日 23時
