【名探偵コナン】僕があいした、ただひとりの君へ【スコッチ】

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プラスティック弾、ゴム弾。これらは本来暴動鎮圧等に用いられる弾丸で、相手を死傷させずに無力化する為のものだ。所謂、非致死性兵器の1種。


先進国の警察組織では割と導入されており、プラスティック弾の方が弾道のブレが少ないのと、致死率が低い。だが、熟練者なら撃った瞬間に実弾との違いは分かる。例えば、スコッチや赤井ならばきっと。



だから、キャロルが用意したのは特殊弾だった。州警察やFBIが使用しているモノではない。見た目は勿論、重さも、密度も限りなく実弾と同等にしたそれは、彼女が組織に潜入する前に、FBIの科学技術部所属の友人がその身を案じてこっそり持たせたものだった。ライフル用3弾に、拳銃用3弾。使用したのは、初めてだった。


赤井のS&W M29が発砲されるケースとして、彼女が予想したのは3つのパターン。

1つ目は、赤井がスコッチの無力化の為にやむを得ず使用するパターン。
2つ目は、スコッチが拳銃を奪い、逃走の為に赤井に向けるパターン。

そして、最も恐れていた3つ目は。


ーースコッチが拳銃を奪い、自決する為に用いるパターン。


3つ目を思いついたのは、彼女自身に経験があったからだ。事情は違えど、拾った銃で、自決しようとした経験が。けれど、もう彼女にとっては"完全に終わった事"だったから、彼らには話さなかったけれど。



兎にも角にも、撃った瞬間に、それがフェイク弾であると悟られたく無かった。両者とも次の一手への決断が速すぎる、という点をよく理解していたから。


かと言って、弾を全部すり替えたり、抜き取るなんて事は出来ない。所持していた弾数にも限りがあるし、抜き取ったらモノの数秒で赤井は気がつくだろう。その為、最終的に、2弾だけすり替える選択を取った。1番最初に発砲される弾と、外した時の為に保険で2番目の弾を。





『...というのが理由よ。質問には答えられたかしら？』
「そうだな、理解と納得はした、と言ったところか」


とりあえずいつまでも現場には居られない、と屋上から退避する事になり、黒いテスラを当初予定していたホテルへと走らせながら、Aは後部座席の降谷と諸伏へとミラー越しに問うた。


赤井はライとして組織への報告など仕事が残っていたから、後々ホテルで合流する事になっている。ノック同士であると分かった今、特にスコッチとキャロルは死亡した事になる訳だから、とコードネームではなく本名を名乗り合ったのが先程。

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