【名探偵コナン】僕があいした、ただひとりの君へ【スコッチ】

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「機嫌悪いのか？」
『...貴方の友人に、何だか嫌われてるみたいで』



"今ニューヨーク市内に居るんだけど、アパート行ってもいいか？"
そう、メッセージで問われたのが昼食を取っていた時で。



何故？ホテル代浮かせる為に泊まりたいの？そもそも任務1回、買い物1回を共にしただけで、そこまで親しくないでしょう？



拒否する理由は沢山あったのだが、招き入れてしまったのは、朝方の夢見が悪かったせいと、前回のバーボンとの任務の愚痴を言えるライとも暫く会えそうに無かったから。だと思う。




「友人？ってバーボンの事か？」
『そう言われると貴方の"友人の範囲"が分からないけど、バーボンの事よ』



手土産に、といくつか用意してくれた酒のボトルを開け、冷蔵庫のもので簡単に作ったツマミをローテーブルに並べ、ソファに腰をかけたままプライムタイムのTVを付けっぱなしにし、どれくらい経っただろうか。
そこまで不機嫌を顔に出していたつもりは無かったが、正直に言えば聞いて欲しかった話題に、思わず答えていた。



「この前任務一緒だったんだろ？」
『そう。その任務で変に気疲れしたの』



任務自体は上手くいった。頭の回転が早くて機転が利くのも認める。けれど、言葉の節々にトゲがあるようなーー腹の探り合いのようなやり取りに、何故初対面のはずがここまでされなきゃならないのか、とイラついたのも確かだった。大体、コードネーム取得だって彼の方が大分後なのに、とどうでも良いことまで気になってしまう程に。



『"スコッチから話は聞いてますよ、優秀な人だと"とか、"流石、男を魅了するテクニックをお持ちのようだ"とか言われたわ』
「......えっと、」
『私だって好きでやってるんじゃないわよ。というか、私の前で全然猫被らないじゃない、バーボンでしょ？前に貴方が言ってたの！』




ハニーフェイス。世の女性から見たらきっと、甘くとろけてしまいそうなキラキラした笑顔。それが私にはどうも、余所行きの胡散臭い笑顔にしか見えなかったのは、会話の所々に敵意があったからだと思う。本人は隠しているつもりか知らないが、そのあたりは人一倍敏感な自信があるから間違いないはずだ。

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