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「...キャロルって、酔うと本音が出るタイプ?」
『っ、は?』
「いや、笑っちゃいけないとは思うんだけど、ちょっとギャップっていうか、」
『......』
「うん、そっちの方が可愛いな」
ポロリ、と摘んでいたスクエアチーズが皿へと落ちた。何言ってるの、そう言えばいいのに、あんまりにも純粋な笑顔を向けてくるから、何にも言えなくなってしまって、ああもう、何でこんな風に話してしまったんだろう。後悔先に立たず、だ。
私、今、"キャロル"を作れていない。
『...悪かったわ、貴方の友人の愚痴なんて言って』
「別にそう言う事じゃなくて。キャロルが言ってんのはちゃんと、悪口じゃなくて愚痴だから」
俺で良かったらいくらでも付き合うぜ?と言いながら飲みかけのグラスを傾けてきたから、自身のそれをカチリと当てた。
「根は悪い奴じゃないと思うんだ、俺もココに入ってからの付き合いだけどさ」
『...この組織にいる時点で良い悪いもないと思うけど』
そりゃそうだな、そう言って笑う彼の横顔は、嫌いじゃないと思う。
演技のレベルも悪いがそんなに上手くはないだろう。少なくとも、バーボンの方がそのあたりは上だと思う。
ーーそれなのに、彼らが、"ここに来る前からの友人なのか"が分からない。それさえ分かれば、
『(分かったら、何なの?どうしたいの、私は...)』
自分の本職をバラすの?味方だって、協力しましょうって?そうして全部終わったら、また一緒に、
「...ロル、キャロル?大丈夫か?」
『っ、』
気づけば、頬に添えられた手と、心配そうに覗き込む顔が思ったより近くて。
ここまで踏み込まれるのに、気づくのが遅れるなんて。
『...ちょっと飲みすぎたかもしれない』
「そっか。もう寝る?」
『...そう言えば、貴方今日どうするの?』
頭上にクエッションマークを飛ばしていそうな顔を見て、言葉が足りなかったかと付け足す。
『ホテル、取ってるの?それともうちに泊まる気だった?』
「あぁ、これから探しに行こうかなって、」
『...この時間から外に出るくらいなら、泊まっていけば』
「っ、え」
目の前の彼がその辺の男より強い事は知っているけれど、日本に較べてこっちの治安は良くはない。
何でも、明日から暫く滞在するらしくホテルは抑えてあったが、入国が1日早まり、そのホテルは本日満室らしく、別のところを探そうとしていたらしい。荷物は駅のロッカーと聞いて、持ってくれば良かったのにと呟く。
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えぬ(プロフ) - ユナさん» 初めまして!いつも楽しく見させていただいてます!あの、新しい小説のリクエストってしてもよろしいでしょうか? (2022年6月1日 22時) (レス) id: 619e2b7b7b (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ムスメ3さん» 見返し!!ありがとうございます(´TωT`)間が空くと分からなくなりますよね、すいません(´TωT`)コメント凄く励みになって嬉しいです!ありがとうございますm(_ _)m (2019年10月28日 1時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - 久しぶりに見返しました!とても面白いです!これからも更新頑張って下さい! (2019年10月27日 23時) (レス) id: 64e9274118 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ムスメ3さん» コメントありがとうございます!間空いてしまってすみません!イチャついてから完結させますのでまたお付き合い頂けると幸いです! (2019年10月27日 9時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - どうなっちゃうのか楽しみすぎます!頑張ってください! (2019年8月24日 22時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユナ | 作成日時:2019年7月29日 11時