【銀魂】問題児と同居生活はじめました。

36 ページ37

.








あれから私は無事に帰宅し、今はというと…






『な、なんですか』



「いやぁ、ちょっといじめたい気分なんだよね」






何故か坂田先輩に、よくドラマで見ていたあの壁ドンというものをされている。




私の顔の両端には彼の腕が伸びていて、どこにも逃げられない状態だ。







「今日の何？」


『え？』



「多串くんも多串くんだよねぇ…





銀さん妬けちゃう」






そう話す彼の瞳は少し色めき立って、爛々と怪しげな雰囲気を放っていた。



その瞳に捕らわれた私は、目の前の先輩が少し怖くなった。






『離してください…』


「んー、やだ」


『ええ…、めんどくさ』




「普通に傷つくからやめて」







つい思っていたことがポロッと出てしまった。






坂田先輩はよく分からない。






どれが本当の顔なのだろうか。





時にはふざけて、



時には真剣で、



時にはカッコよくて…










『あの先輩って……』









口を開いた途端、頬に何か柔らかい感触。







　

　
「銀さん虐めた罰な」









そう言って彼は意地悪に笑った。



私は何が起こったのか理解することが出来ず、思わず硬直してしまう。







『…へっ、あの』



「もう遠慮しねェ」



『えっ？』





「こっから全力で落とすから覚悟しとけ」







先程とは違って、真剣な眼差しで言い放ち、自分の部屋に歩いて行ってしまった。






私は壁を背中に預け、ずるずるとへたり込んだ。








『っ、あっつ…』








坂田先輩の唇が触れたほっぺたが熱くて、その日の夜は全然寝付けなかった。








.

37→←35

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す