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変な時間に目が覚めてしまった。




とりあえず水を飲もうと冷蔵庫を開くが、そこには空になったボトルだけが転がっていた。





……仕方ねぇ、買いに行くか。







気怠げに部屋から出て自販機に行く途中、ソファーから足を放り出して寝転がっているAの姿が目に入った。




近くまで寄ってみれば爆睡してるじゃねーかよ。








「(……つーか、)」






───…無防備すぎんだろ。




俺がこいつを襲うなんて百歩譲ってもあり得ないが、こいつは無防備だ。簡単に食われる。



だから傑にもキスされそうになるんだよ。





ほんの出来心で、ソファーで眠るAの顔の横に手をつき、覆い被さるように見下ろす。







「(こいつ…、)」







こんだけ近づいてもピクリともしねぇ。



下手したら唇が触れそうだっていうのに。






「(何やってんだ、俺は)」






我に返って雑念を払うように首を振り、Aを部屋まで運ぶため抱き上げる。







「…軽っ」






ちゃんと食ってんのかこいつ。





俺よりも一回り小さい手。



俺よりもか細い腕と首。




此奴は弱い。なのに負けずと這い上がってくる。端から勝てないと分かりきってるのに、1人で必死に───。





毎度毎度傷つくりやがって。










『だれ…?』






不意に胸元から微かに聞こえてきた声。



目線を下にずらすと、うっすらと開かれた目は眠いせいなのか、とろんとしていてどこか艶っぽい。







「いいから寝てろ」






何とか冷静さを保つ。






『…うん……』






そう小さく頷いてはまた俺の中で眠る。




規則正しい息が聞こえてきて再び奴の顔を覗けば、気持ちよさそうに目を閉じている。






「ったく、なんなんだよ…」





こっちの気も知らないで。









部屋に着いてすぐに奴をベッドに下ろし、隣にあったテーブルにAが好きなコーヒーを置いてやる。



…水を買ったついでだ。







目にかかった髪をすくうと、溶けるように俺の指の間を通り過ぎていく。





嗚呼、釈然としねぇ。



目の前に眠る此奴を眺めながら俺はそう思った。







昨日、何故あんな顔をした?




なんであんな苦しそうに、泣きそうに──…










「……なあ、教えてくれよ」










その訳はまだ誰も知らない。







ただし '' 一人 '' を除いて。








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皐摩(プロフ) - 胸がギュンギュンしました… (2022年2月15日 19時) (レス) @page50 id: c69f5fedc2 (このIDを非表示/違反報告)
もっち - めっちゃ面白いです。 (2022年1月15日 15時) (レス) @page47 id: ea5533ef50 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 恵 - 目頭が熱盛(?) (2021年10月12日 20時) (レス) @page13 id: f5505c766c (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 莉亜さん» ご声援ありがとうございます!夏油ルート検討してみようと思います!! (2021年9月29日 2時) (レス) @page41 id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
- えっ好き() (2021年9月23日 22時) (レス) @page38 id: 160a7ef55b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ロゼ | 作成日時:2021年2月20日 21時

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