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赤い夕日が私たちの影を映す。
『ねぇ、ごじょ…っ』
帰り道、
私は隣を歩く彼を見るなりすぐ口を閉ざした。
ああ、
私は知っている。
────……あんたのその顔を。
いつもとは違う、顔を赤らめて。
あの時と同じだ。
あの日もこんな日だった。
「──なあ、」
きっと怖かったんだ。
これから聞かされることが。
『……な、なに』
逃げちゃいけない。
受け入れなければ、 '' 友達 '' として。
「俺、付き合うことになった」
あの時と同じ感覚。頭が真っ白になるような。
良かったね、
その一言がすぐに出てこなかった。
「ラッキーなことにあっちの方から告ってくれてさぁオーケーしたってわけ」
胸がチクリと傷んだ。
あの時と同じ痛みだ。
『そうなんだ…、なんかあの日と似てるね。ほら、あんたから好きな人がいるって言われた日』
「そうだっけ?てか覚えてんの?」
『…覚えてるよ』
忘れるわけない。
忘れられない。
「お前はいつになったら彼氏できるわけ?」
『さぁ、どうだろう。下手したら一生できないかも』
「まあ出来たら連れてこいよ、俺が見定めてやるから」
『…はは、なにそれ。私のお父さんかよ』
私ちゃんと笑えてるかな。
こいつが付き合ったところでもう私には関係ない。部屋に来る理由も無くなって清々する。
───はずなのに
『なんで…』
どうしてこんなにも心が張り裂けそうなんだろう。
もう好きじゃない。
私はもう諦めた。
このハッピーエンドに私は要らない。
「あ?なんか言った?」
『……ううん』
ただ漠然とした不安が私を襲う。
きっと、五条に彼女が出来たら今のように話すことができないと思っていたから。
そんな事に恐れていたんだ。
私の知っている五条が消えていってしまいそうな……
『おめでとう。頑張ってね、応援してるから』
目の前の五条の顔がぼやけている理由もきっとそのせいだ。
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皐摩(プロフ) - 胸がギュンギュンしました… (2022年2月15日 19時) (レス) @page50 id: c69f5fedc2 (このIDを非表示/違反報告)
もっち - めっちゃ面白いです。 (2022年1月15日 15時) (レス) @page47 id: ea5533ef50 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 恵 - 目頭が熱盛(?) (2021年10月12日 20時) (レス) @page13 id: f5505c766c (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 莉亜さん» ご声援ありがとうございます!夏油ルート検討してみようと思います!! (2021年9月29日 2時) (レス) @page41 id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - えっ好き() (2021年9月23日 22時) (レス) @page38 id: 160a7ef55b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロゼ | 作成日時:2021年2月20日 21時