羊が２４匹 ページ24
あれから、また少し経ち、気が付けば私の停学期間は終わっていた。
久しぶりに制服に袖を通し、なんだか入学式に行くようなワクワクとした気持ちで家を出た。
きっと、いい顔はされないだろう。
でも、この一ヶ月で学校の大切さを改めて知れたような、そんな気がした。
校門に着くと、女の子の高い声が聞こえてくる。
「あぁ、この感じも久しぶりね。
家じゃ、あんなに静かだけど、ここはいつも賑やかで明るいわ」
そこが学校のいいところ……なのだと思う。
廊下を少し歩けば私の教室に着いた。
……さて、私の席はちゃんとあるかしら。
なんて思ったりしたけど、教室にはちゃんと“麻野 A”と書かれた机が置いてあった。
「あ、あの……！！」
そんなことを考えていると、声をかけられた。
久しぶりに登校してきたいじめっ子に話しかけるとか勇気あるなぁ……なんて場違いなことを思いながら声のするほうに顔を向けた。
「その……今回のこと、申し訳ありませんでした！！」
そう言ったのは、坂崎さんの友達の松山さんだった。
「……松山、さんですよね？何故謝るんですか？あなたは特に何もしてないじゃないですか」
「そ、それは違います。
私は麻野さんに美琴の愚痴を言った。それにあなたに美琴をいじめるように頼んだ……私もれっきとした加害者です」
あぁ、そういえば彼女から坂崎さんの愚痴はよく聞いていたっけ。
私が坂崎さんをいじめていることを知って彼女は私に代わりに懲らしめて欲しいと頼んできたんだった。
「それなのに麻野さんだけ停学になってしまって、この件はすべて麻野さんの責任として処理されました。
それが、私たち納得できなくて……その、私たちに何かできることは無いでしょうか？」
……？何かすること？それに“私たち”って、どういうこと？
「松山さん、あの、一体どういうことですか？
別にあれは私がやったことですし、それに私たちって……」
「あぁ、えっと、それは……麻野さんに美琴の愚痴や悪口を言った人たち、のことです。
麻野さんが停学になったって知って、皆で集まって麻野さんが帰ってきたら何か出来ることをしよう……ということになったんです」
なるほど、そう言うことだったのね。
停学からあけたいじめっ子……かなり引け目に、腫れ物に見られると思っていたのに、少々違ったらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 885人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚子。(プロフ) - うぃるそんさん» ありがとうございます！！！！頑張ります！！ (4月27日 22時) (
レス) id: e4888bfbe3 (このIDを非表示/違反報告)
うぃるそん - あー！！本当に大好きすぎます！これからも頑張ってください！！ (4月22日 23時) (レス) id: 4b19bdf32e (このIDを非表示/違反報告)
柚子。(プロフ) - ーーーさん» えへへ、ありがとうございます！！ (3月7日 20時) (レス) id: e5709cfba7 (このIDを非表示/違反報告)
ーーー - 好き······ (3月7日 18時) (レス) @page47 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - 大好きです！（突然の告白）頑張ってください！ (10月12日 16時) (レス) id: bf3237f3d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚子。 | 作成日時：2022年10月8日 9時
