声が届くまで １

声量42 ページ47

「何食べたい？」

スーパーに着くなり、貴大に質問をする
貴大はうーんと悩んでこう私に言ってきた

花巻「なんでもいいn「それ無しね」…そうめん」

「おそうめんかー
おけおけー」

そう言ってそうめんの材料をかごに突っ込んで野菜なども買う

花巻「野菜なんて何に使うの？」

「普通に食べる用だよ？
バランス取らないと…」

まぁこのメニューでバランスが取れてるか心配だけどそんなもの気にしない、とお会計を済ませた

花巻「孤爪ー乗れー」

「うぃーっす」

ガサガサとなるビニール袋を前かごに入れて自転車の荷台に乗る
夜の風は涼しくて気持ちよかった

花巻「うぉ、さみぃ」

「冬になったらもっと寒いんだろうね」

花巻「冬とか、俺ら卒業シーズンじゃねぇか」

「あー…そうだね」

ついこの間、青城に入学した気分なのに…、3年間ってもんは早いのね

花巻「大学進むの？」

「うん」

花巻「どこ受けるん？」

「一応、岩泉と及川と一緒んとこ」

花巻「へぇ、あの2人と一緒ってことはお前頭いいな」

「そんなことないよ、及川､理数科だし私なんて全然…！
てか模試とかＣ判定だったし…」

そう、私は及川と岩泉と同じ大学に進むのだが、その模試がＣ判定だった
それ見てお母さん唖然だったなぁ…

だってＣ判定よ？どうすんの。
友達の友達さんがＣ判定だったけど合格したって聞いたけど、私がそんなことできるわけがない…！

花巻「なにブツブツ言ってんの？」

「え、声出てた？」

花巻「おう、Ｃ判定でも合格できたとかなんちゃら」

「まじで」

思ってるだけかと思ってた
声に出てたとは…。

花巻「大丈夫だよ、Aなら」

ぽつりと呟いた言葉
その最後に私の名前があったようななかったような…。

「え？」

もう一度聞きたくて聞き返す

花巻「ん？あぁ、大丈夫だと思うよ、孤爪ならって言ったの」

やっぱり私の聞き間違えか。
まぁ名前なんて呼んでもらえるはずがないもんね


──てか、なんでこんなに残念がってんだろ。

今は英のはずなのに、貴大に言われると嬉しく感じてしまう

やっぱり私は貴大が──？


「(まぁたとえそうだったとしても、もう付き合えることはないでしょ)」

そんなことを思いながらたまに弾む荷台に乗っていた

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