声が届くまで １

声量37 ページ42

花巻「んじゃ、行ってきます」

松川「いってらー」

1つのチャリに2人で乗る
まさかの貴大とです

「……」

花巻「……」

何も話すことがなく、大人しくチャリの荷台に乗っていた

花巻「…あのさ」

「ん？」

花巻「…ごめん」

「なにが？」

花巻「倉庫前で気持ち悪ぃとか言っただろ、俺」

「あー…うん」

花巻「ごめんな」

「大丈夫、気にしてないから」

気にしていなかったのは嘘。
だけどそれより貴大が謝ってくれたことを嬉しく感じてしまった

「花巻って久下さんといつから付き合ってんの？」

花巻「最近だよ、孤爪は？」

「私も最近…ってか今週」

花巻「やっぱりなー、楽しいの？」

「うん、好きなものが一緒だったからね」

そう、英は塩キャラメルが大好きらしい
それが一緒で塩キャラメル同盟を組もうかとか話してたっけ


「久下さんとはどんな話するの？」

花巻「んー…バレーとかの話かな
アイツ、甘党じゃないから好きなもんの話はできねーし」


花巻『A！シュークリーム食べに行こうぜ！』

甘党…かぁ。

甘党って言葉を聞くと昔 貴大と行ったシュークリームの専門店を思い出す


「そっか、なんか楽しそうでよかった！」

花巻「おう」

キッとブレーキをかけて止まった自転車

「お、宮城のより大きくない？」

花巻「ここも宮城だけどなーっと、チャリ置くから下りて」

「はーい」

荷台から下りてカートの中にかごを突っ込む
そして貴大を置いてスーパーの中に入る

「(朝ごはんって何がいいかなー)」

いつも作ってるのでいいかなーとか、考えながら卵をかごの中に入れる

花巻「なに作るの？」

「目玉焼きとご飯とお味噌汁とかでいいかなーって思って。
何か食べたいのある？」

花巻「卵焼き食べたい」

「じゃあそれは君がやるんだな」

花巻「聞いといてそれはないだろ」

そう言ってヘラっと笑った貴大

久しぶりに見たなぁ…

「んじゃあこれでいっか」

かごの中に入った材料を見てお会計へ。
それ済ませて再び貴大の後ろに乗る





その帰りは何も話さなかった

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