声が届くまで １

声量15 ページ19

「ありがと岩泉
がんばって」

岩泉「さんきゅ」

体育館までスポドリを運んでいってもらってお礼をいう

スポドリの籠をベンチに置くとぼーっとしている咲花ちゃんを見つける

「あれ、咲花ちゃん
タオルどうしたの？」

久下「あ、タオルですね、忘れてましたぁ」

そう言って倉庫に走っていく
その背中を見ながら私はこう思った

「(あの子…変わった？)」

さっきまでなんでも全力でやってたのに…

「(疲れちゃったのかな)」

その時の私はそう思ってた


でも

及川「休憩入れるよー！」

パンッと手を叩き、合図を出すと部員がこちらに走ってくる
その部員1人1人にスポドリを渡していく

及川「…あれ、タオルは？」

「咲花ちゃんタオル…あれ？
咲花ちゃんは？」

岩泉「どこいったんだ、アイツ」

「さぁ…
ちょっと見てくるね、ごめんなさい！」

そう言って私は咲花ちゃんを見に倉庫へ向かった

「咲花ちゃん、タオルって…」

久下「…っあ、花巻せんぱぁーい
誰か来ましたよ？」

「っえ？」

花巻「そんなのカンケーねぇだろ
見せつけてやろうぜ？」

久下「もうっ花巻先輩ったらぁ！」

なに…これ…

私の目の前には咲花ちゃんだけが見える
咲花ちゃんの腰に手を回している人は…


「たか…ひろ…？」

私はその場にいれなくなり、そばにおいてあったタオルを持って体育館に戻った
そして笑顔で部員にタオルを渡す

松川「あれ？花は？」

岩泉「確かに
花巻ー！」

及川「トイレじゃない？
そのうち戻ってくるでしょ」

「…そだね
すぐ戻ってくるよ」

ああもう、あんなこと夢であって欲しいくらい

「ごめん、ちょっと外行ってくるね」

涙がこみ上げてることを我慢しきれず外に行くことを決心する

「なにやってたんだろうなぁ…」

ボロボロと涙をこぼしながらそんなことを呟く

？「Aさん…」

「っ!?
英かぁ…」

国見「大丈夫ですか？」

「あはは、大丈夫！
目にゴミ入っちゃって…！」

国見「泣いていいですよ、別に
気にしませんし」

そう言って私の隣に腰を下ろす

「何いってんの？
私泣いてないよ？」

ほら！と笑ってみせる
私の嘘の笑顔を何一つ表情を変えずに私の顔を見続ける英

「…っう」

国見「(う？)
ほら、Aさんやっぱり泣いてたんじゃん」

「泣いてない…」

国見「…はぁ
めんどくさ」

「え？」

国見「ほら、おいで」

そう言って腕を広げる英
私は意味がわからなくって硬直していた

国見「何してるんですか
おいでって」

声量15.5→←setting 2

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