声が届くまで １

声量10 ページ12

研磨『旅行は、行ってもいいんじゃない？』

その言葉が頭の中にぐるぐる回っていて。

私は決心した

旅行は行くと。

LINAを開いて文字を打つ
打ち終わって送信ボタンを押そうとしたところで手が止まった

────もしここで。

私も行くなんて発言して貴大がやっぱ行かないとか言ったらどうしよう
及川や岩泉…岩泉は平気か。松川とかが悲しむでしょ


それなら行かない方が…



「(いやでも…)」

どーしよ…。


ピロンッ

「ん？」

鳴った携帯を見るとメッセージが送信されており、その返信が来ていた

及川から


「行くって言っちゃった…!?」

携帯を持ち上げて振る
振ったところで何も無いけれど。

徹ちゃん☆「じゃあ来週、岩ちゃん家集合！」

ハジメッティ「おっけ」

まーっつん「りょーっ」



今のところ貴大からの返信はない
既読を見ると、3人しか付いていないので見ていないのだろう

「なんか、疲れたなぁ…」

ボフッとクッションに顔を押し付ける


貴大に彼女出来たらどうしよ…。



「そーしたら、私どうなっちゃうんだろ」

こんな予感、当たらないで欲しい

なのに


嫌な予感しかしない。


顔に押し付けていたクッションをほおり投げて机の上を見る

研磨の持ってきた袋を掴み、中を見ると

「あ、塩キャラメル」

私の好物、塩キャラメルが入っていた

食べてもいいよね？

ピリピリと丁寧に開けていく
銀色の包装に包まれた塩キャラメルを出して、口に入れる

「うまぁっ!!」

テンションが上がって携帯を充電器にぶっ刺して冷蔵庫からオレンジジュースを出す


LINAを忘れてTVを見ていた

バラエティを見て爆笑して、いつもと変わらない1日を過ごした




──翌日、あんなことが起こると知らずに。

声量11《研磨side→←声量9.5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す