君トミタカガヤキ《JW》 (ページ6)

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「うわぁ、懐かしいそれ、よく食べてたやつ」

何で安くなってるやつ買うたん、俺…

そりゃそうか、一人で食べるはずやったし…

過去の俺、責めてごめん。

『…食べる？』

ダイニングテーブルの向かいに座って、ただにこにこしながら見ているだけのAは何をしたいんだか。

とりあえずカップを傾けて差し出してみると、いいの？なんて言いながらきゅうりと大根を一本ずつ。

「久々に食べたけど、やっぱり美味しいな」

『あんまり今食べないんや』

「あー…転職したの」

へー、初耳、もうあそこのオフィスにはいないんや。

スタジオが近くて、通るたびに見上げてた俺、めっちゃアホやん(笑)

「本当はね、タカヒロのこと、もうちょっと支えられたらいいなぁって思ってて…」

今までいくら家に押しかけても呼ばれなかった名前が呼ばれた瞬間、俺の中の何かがボロボロと崩れていく。

「ほら、私の方が帰るの遅いと、タカヒロ何も食べないじゃん？」

やめて、手放したの、惜しくなるから…

「だから…ずっと、転職したいなぁって…思ってたの。別れちゃったけど…」

やめて、泣かんといて、俺も泣きそうになるから…

「何だかんだ、起きて隣にタカヒロがいると、嬉しくて…っ」

『…A、ほんまにごめん』

別れたときより、少し小さくなった身体を腕の中に閉じ込める。