21. 誘導尋問 ページ21
.
がっくりとうなだれたままの彼女の顎に手を添えて上を向かせる。
「ッ･･･」
紅潮した頬に、潤んだ瞳･･･と、ちょっと開きかけた唇。
それに加えて浅く繰り返される呼吸。
すっげ、色っぽいんですけど･･･
思わず塞ぎたくなるその唇から視線を外すと、首筋に手を当てて直接体温を確かめた。
確かに表示されたのと同じくらい、ありそうだな。
インフルエンザの検査ができるかどうかは、発熱してからの時間による。
いつから熱が出てるのかを質問しても、全然まともな答えが返ってこなくて苦笑いしか出ねえ。
それでもなんとか検査しても大丈夫そうな返答をもらい、すぐさま検査する。
結果が出るまで少し時間がかかることもあって、横になるように指示をする。
熱もあって身体も痛くて心細いだろうってのは、わかってる。
俺だって、出来ることならここでついててやりたいけどさ･･･
まあ、そうもいかないよな。
後ろ髪引かれる思いを振り切って部屋を出て検査キットを看護師に渡すと、俺は一度診察室に戻った。
.
時間が経つのがものすごく遅く感じる。
あと5分、あと3分･･･結果が出るまでの長いこと、長いこと。
いや、長く感じてるだけだな。
そんな長い時間の後で、ようやく看護師がノックとともに入ってきて、陰性でした、と結果を持って来たのを確認すると、カルテを持って個室へと戻った。
俺が部屋に入ると、そのままでいいっつってんのにのそのそと起き上がる。
単なる風邪だということを伝え、ついでだからと松潤･･･あやうくそう言いそうになって、松本潤くんでごまかしたけどな･･･からの伝言を伝えると、なぜか彼女がクスリと笑う。
ちょっと空気が緩んだのを感じて、ずっと確認したかったことを切り出した。
俺のこと好きだ、っつったよな？
それ、今も？
今でもおまえは俺のことが、好きなの？
そんなにストレートに聞くことはハナから考えてないから、どうにかして誘導尋問に持っていきたい。
そうしてたどり着いたのが、
「おまえが好きなの、俺じゃん？ってことは、あいつがどんなに頑張っても、無理ってことじゃん？」
って言葉だったんだけど、その途端、彼女の顔が急に曇った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2369人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
coconari(プロフ) - ゆんさーーん！ずっと待ってましたよぉ！！通知にゆんさんのお名前あったとき、二度見しちゃいましたからっ(笑)また、ゆんさんのお話が読めるの楽しみにしてますね。しょうさんsideキュンキュンです！！ (2016年10月31日 7時) (
レス) id: 3653685d7c (このIDを非表示/違反報告)
みかぽ(プロフ) - はじめまして！ 彼女サイドの話から一気に読ませてもらいました！ 翔くんサイドのお話はキュン度が増してて悶えてます（´-`）続き楽しみにしてます！ (2016年10月30日 19時) (レス) id: 952df20f4c (このIDを非表示/違反報告)
＊SAKURA＊(プロフ) - 初めまして。ゆんさんのお話が好きでずっと読ませてもらってましたが、今回初コメさせて頂きます。ゆんさんの書く翔さんが私が持ってる翔さんのイメージにホントに近くていつもキュンキュンしながら読んでます。これからもずっと楽しみにしています！(*'ω'*) (2016年10月30日 19時) (レス) id: 64d50e7112 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - はじめまして。ゆんさんの文章が大好きで何度も読ませていただいてます！続きが気になっていたので、更新に戻ってきてもらえてとても嬉しいです。これからも楽しみにしてます！ (2016年10月30日 18時) (レス) id: 9fb44e1fa4 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - はじめまして！部長シリーズからゆん*さんのファンで何度も読み返してはキュンキュンさせてもらってます！このお話も大好きで、また続きが読めるのが嬉しすぎてコメントさせてもらいました(≧∀≦)モヤモヤ翔さんが可愛くて可愛くて！また更新楽しみにしてますね！ (2016年10月30日 8時) (レス) id: edf3e45354 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆん*
| 作成日時：2016年1月29日 22時
