干物がーる【あほの坂田】

干物 4 ページ6

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　「お、さかちゃんやっと起きた！」
　「…は？」
　
　ピピッという軽快な音に目が覚め、眠い目を擦りながらやけに広く感じるベットの上半分が冷たいことに気がついた。
　まさかと思いながら布団からはい出てリビングの方へ行けば、まさかのまさかである、Aがキッチンに立っているではないか。
　それに加えてあのAから “やっと起きた” などと言われたことにも驚きを隠せない。

　何故かって？
それは簡単な話、Aの寝起きはアホみたいに悪いから。どれだけ起こしても全然起きず、ようやく起きてきたと思っても立って寝始める始末のあのAが、俺より先に起きている。
その上あの干物のAがキッチンにたっているではないか。
　
　「明日月でも降ってくるんとちゃう？」
　「失礼か！」
　
　ただ珍しく目が覚めただけや！と加えて主張をしてきたので、まあそういうことにしておこう。
きっとそうだし。
　
　「珍しく私が朝ごはん作ってあげてるのに。」
　
　俺の考えを察知したのか、更にむくれるA。いや、自覚しているだけマシかもしれないが、本当に珍しいのである。Aが朝ごはんを作るなど。

　実家暮らしだった時は勿論Aのお母さんが作っていたし、こっちに来てからはAの帰りが遅かったり、喋り倒したりして今みたいにしばしば泊まったりすることはあれど、まず先に起きるのは俺だし、朝ごはんを作るのも勿論俺である。

　俺がいない日はどうしているのかと言うくらい朝の寝起きも悪いし、兎に角こんな事は稀なのである。
　
　「珍しいから言うてるんや、絶対明日なんか降んで！」
　「これ以上言ったら全部私が食べるからね！」
　「それは嫌や」
　
　
　
　

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