干物 3 ページ5
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東京に来て早三ヶ月、さかちゃんが家で何かと世話を焼いてくれるようになってふた月経った頃。
「悠木さん、この資料頼める?」
「いつまでにですか?」
「明後日の昼まで!」
「あ、なら大丈夫ですよー」
「助かる!頼んだよ!」
このようになにかと頼られる立場にまでなった。
「悠木さん残業?」
「あと少しだけやったら帰りますよ!」
「まだ来て間もないんだから、程々にね。」
「ありがとうごさいます。」
ブー、ブー、と携帯が震える。
誰だよ、こんなタイミングで、と仕事片手間に電話に出ると、画面の向こうからとてつもなくやばいオーラが放たれている。
「もしも」
「もしもしやないやろ!あほか!!」
「なんださかちゃんかー。」
「さかちゃんかー、やないやろ!あほ!」
「うっさいわぼけ。何の用や。」
「何の用も何も、お前今何時かわかんとるんやろな。」
声から伝わってくるお怒りモードに怠さを感じなから適当に流してやろうと決意しながら時計を見ると、まさかのまさかで十時過ぎ。
「え、まじ?」
おかしいな、定時が五時半で、声をかけられた時には程々にすると確かに答えたのに、あれからもう五時間近く経っていたのかと驚く。
まあ、このおかげで明日は気楽に仕事ができそうなわけだけれど、さかちゃんのお怒りの根源はここにあったのかと納得をする。
画面の向こうでは溜息をつかれてるし、間違いないだろう。
「ごめん、気づいとらんかってんて。今すぐ帰るから許して。」
「言ったな、絶対帰ってこいよ。“キリのいいところまで〜” とか言うてやったらどうなるかわかっとるやろな。」
「わかってるわかってる。」
わかるに決まってるでしょ、絶対日付回るって。
幸い、実家から通ってた時を思えば終電の時間もかなり遅いし日付回ったくらいなら平気だろうけれど、家で待ってるこの男がとてつもなく怖い。
電話を片手にデスクを軽く片付けて、さっさと鞄を用意して部所を離れた。
因みに会社から出るまでさかちゃんは電話を切らせてくれませんでした。自業自得。
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みや(プロフ) - すずさん» あああコメントありがとうございます!なるひろの絡みも好きです可愛いですよね(*¨*) どのキャラも活き活きしていて本当に好きです笑 (2018年12月19日 23時) (レス) id: d580707f2b (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - ヲタ恋いいですよね!私はなるちゃんと宏嵩の絡みがめっちゃ好きですw花ちゃんもいいですよね (2018年12月10日 20時) (レス) id: 1ecb80634b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みや | 作者ホームページ:https://twitter.com/miyadao_orz?s=06
作成日時:2018年11月18日 22時