干物がーる【あほの坂田】

干物 31 ページ37

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　…かちゃ……さ…ゃ………
　
　ふと目が覚めるも辺りは真っ暗。夜中に目が覚めたか。せっかく実家に帰ってて時間気にせず寝てられるってのに最悪だ、なんて思ったのも束の間。
　
　「さかちゃ…」
　
　か細い声が聞こえ視線を横にずらすと、何故かそこにはAの姿。
　
　「ちょ、どしたん！？」
　「さかちゃん…」
　
　呼びかけても意識は朦朧としていて、声は届いていなさそうだった。月明かりが差し込んで薄暗く見えるAの体は小刻みに震え、手は俺のタオルケットを弱く掴んでいる。
　
　「いっぺん落ち着き。」

　ベットから下りAの横に座り、頭と背中を撫でて落ち着かせる。徐々に嗚咽は小さくなるが、震えは一向に止まらない。

　Aがこんなふうに取り乱しているところは久方ぶりに見たかもしれない。

　そういえば、と記憶を遡って考える。以前、こんな風に嗚咽を漏らして泣きに来たとき、一度はネット上で攻撃された時。
もう一度、いやこれは一度どころではなかった、があったのはAの家が火事になった、と同時に両親を失った時。

　余程精神面で堪えるようなことが無い限りこんな風になる事は無いが、最近そんな取り乱す程になるような事があっただろうか。
　最近、たまにとはいえまたネット上で発信していたことで、俺の知らないところでまた攻撃されてたのだろうか。

　不安とともに少しばかり血の気が引いた気がした。
　

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