干物がーる【あほの坂田】

干物 13 ページ15

「「かんぱーい！」」
　
　カンっというグラス同士が当たってなる気持ちのいい音が店内に響き渡った。

　まーしーの連れてきてくれたお店は、金曜のこの時間ということもあってか既に結構な盛り上がりを見せていた。
　私たち二人はカウンターに通され、早速生中二つを頼んで一杯目の乾杯の音頭をあげた。

　口をつけて一気に半分ほどのみほす。
　
　「っぷはー！いやー、仕事終わりの生中は最高だね。」
　「おっさんか。」
　
　言いながら笑いを浮かべているこの男はやはりいい男だ。うん、腹が立つくらいイケメンだぞ。くそー。

　初めて顔を合わせた当初と比べるといい男に磨きがかかって、歳を増す事にイケメン度合いが増している、と個人的には思う。

　そんなまーしーの飲みっぷりも十分なもので、私とそんなに変わらないくらいを一口目で飲んでいた。
　
　「つまみ何がええ？」
　「冷奴となんかオススメのやつ。」
　「ほんま豆腐好きやな。」
　「大豆製品が好きなんじゃー」
　
　しっかり訂正を決め込んでいればそれは華麗にかわされて店員さんに注文をしてくれた。

　…きっとこういう男がモテるんだろうな、とどこか他人事のように思った。

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