冥界の主と少年。 (ページ38)

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アルバイト。ページ38

「アルバイトぉ？」

「……ヤンキーみたいに語尾を上げるのやめてもらえますか」

「いやだって…」

少年が言うには、帰りが遅くなるのはアルバイトを始めたからだそうだ。

「アルバイトって…そんなにいきなりできるもんなの？」

とりあえず、女ができたとかじゃないことにホッとする。
アルバイトか…コイツみたいな子どもを雇ってくれるところがあったのだろうか。

「まぁ…ネットでいろいろ調べたんですけど…いいところがなくって…そしたら知人が『俺のところで働かないか？』とお誘いをいただいたんです」

「あぁ…それで、その知人のところに…」

コイツの知人と言っても限られている。

私が知っているのは兄貴と鈴芽くらいだが、他にも誰かいるのだろうか。

「ところで何の仕事をしてるんだ？」

「白い粉を仕分ける仕事をしています」

「えっ…」

『白い粉』と言う言葉に大人の事情アンテナが反応する。

私はすごい勢いで少年の方をつかんだ。

「め、冥界さん？」

流石の少年も驚いたのか、戸惑った顔で私を見つめる。

「それは……」

「は？」

「それはどんな粉だ!?」

「えっと…」

「やっぱりいい!! 何も言うな!! お前はその物の名前を知ってはいけない!!」

少年の方をつかんだまま、頭を激しく左右に振る。

「いいか!?何があってもその粉を吸い込んじゃダメだぞ!? そうだガスマスク!! ガスマスクがあるからつけろ!!!」

「いや…冥界さん…また勘違いしてるようなんですけど…僕は粉ミルクを仕分けしてるんですよ？」

「え」

～冥界の主観察日記～

･冥界さんがものすごい恥をかいた。

「もうやめて…穴があったら入りたい……」