冥界の主と少年。 (ページ32)

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仮装。ページ32

「終わったー!!」

「全部で20個ほどあるぞ」

やっとランタンを作り終えたのか、ダイニングテーブルの方からそんな声が聞こえてきた。
20個ほどって…そんなに作ってどうするつもりだよ…
おかげでかぼちゃ料理が山ほど出来上がってしまった。

苦笑いしながらガスコンロの火を消し、お皿を取ろうとかがんだその時。

背後から緑色の手がニュッと出てきて、私の手首を掴んだ。

「⁉」

錆びた鉄のようにグギギギ…と振り向けばそこに居たのは…

「で、ででで、出たぁあああああああ‼」

「落ち着いてください僕です」

「⁉」

よくよく見れば、ゾンビのマスクを被った少年だった。
よかった…本物じゃなくて… いや、良くない。またこいつの前で恥をかいてしまった。
こいつの事だからきっと後でおちょくられるだろう。

「なんだなんだ！」

「冥界さん大丈夫⁉」

騒ぎを聞きつけて鈴芽と兄貴がドタバタとやってきた。
よく見ると二人とも着替えている。
鈴芽がフランケンシュタインで、…兄貴は……

兄貴は………

「………兄貴さん……それ………和服だよね？」

兄貴はいつもより派手な着物を着て、狐のお面をつけていた。

「そうだ」

そう尋ねると、兄貴はコクンと頷く。

「人間に化けているミロが好きな狐だ」

「それジャパンじゃん‼東洋じゃん‼狐のお面ってどこの神社行くつもりだよ！ハロウィンは西洋文化だよ!!」

それを聞いて兄貴は手を組んで考える仕草をした。そしてひらめいたのか、一人でコクンと頷いた。

「ふむ……それじゃあミロが主食の狸なんてどうだ？」

「変わってねぇよ!!」

どうして東洋になるんだ！そしてなんでミロが出てくる⁉せめてキャンディかかぼちゃにしろよ‼

「もうミロが好きな吸血鬼でいいや」

やっとハロウィンらしくなったがミロは外せないらしい。
っていうかなんで第三希望が西洋になるんだ…

「にしてもいっぱい出来たね！どれも美味しそう！」

鈴芽がテーブルに並べられた料理を見て呟く。

「冥界さんの癖に料理出来るとかムカつきます」

「うるせぇよあ、みんなの取り皿そこにあるから」

「はいはーい」

「明日のご飯は残り物決定ですね…」

キャッキャ騒いでいるみんなに気づかれないようにその場から抜け出した。

～冥界の主観察日記～

･冥界さんは地味に料理が出来る

「地味にって何!?」

「冥界さんだとなんかムカつきます」

「なんで!?!?」