冥界の主と少年。 (ページ17)

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水を求めて3時間。ページ17

「暑い……暑いよぉ……」

私はそう言って机に突っ伏した。冷えていたはずの机の表面がすぐさまぬるくなる。何度もゴロゴロと場所を変え、涼しい場所を求めさまよう。
現世ではかなり気温が上がったようだが、それは冥界の一緒である。ただでさえ暑いのに今日は曇のためさらにしける。
水分はドクドクと体の外へ流れ出ていく。

「少年! 少年くんよー！なんか飲み物……」

シーンとした部屋に私の声が虚しく響く。少年はどうやら留守のようだ。アイツ、こんな暑い中よく外に出ようと思ったな。
重い腰をのろのろとあげて、私はキッチンへ向かった。

＊

「うへぇ……水…」

こんな暑さだとすぐに喉が渇いてめんどくさいんだよな…。
冷凍庫を開けるとそこは……

「………なんで卵しかないんだよ!?!」

そこには隙間がないほどビッシリと積み込まれた卵の山。卵の他に何もない。
少年だな。絶対少年の仕業だな!! アイツずっと卵料理食って生きて行くつもりかよ!?!? そのうち腐卵臭漂わせるんじゃないか…??

「氷でも食べとくか…」

臨機応変に対応して水は諦めて氷に変更したが…

「……なんで冷凍庫にまで卵びっしりなんだよぉお!!」

なんだ…? 卵集めが少年の趣味なのか…？それともなにかに取りつかれて、無意識のうちに集めてるのか??
叫んだせいで余計に喉が渇いてしまった。
ええい!こうなったら最終手段! 水道水だ!!
すぐさま蛇口をひねったが、出てきた水はたったの数滴。

「……はぁああああ!?」

なにこれ!? 壊れた!? こ、壊れるほど雑に扱った覚えはないけど… なんて焦る私は、ふと一枚の紙に目に止まった。

「？」

よく見るとそれは明らかに少年が書いたと思われるメモ。

『今日は水道点検のため夕方の五時まで水、止まるそうですよ』

「……出掛ける前におしえろよぉおお!! 」

まさか少年… こうなると分かっていて逃げやがった!?

「こんな事になるなら私も出掛けば良かった…」

今更後悔しても後の祭り。
五時まで後三時間。我慢するしかないのか…
いや、途中で少年が帰ってくる可能性だってある。そんなに辛いことでもないさ。
そう自分に言い聞かせて、私はキッチンを出た。

しかし、世の中そんなに甘くない。
二時間たっても、三時間たっても、少年がもどってくるこちはなかった…。
そして水も戻ってこなかった…。

このままだと…私は干物と化してしまう…!!

冥界の主観察日記

･冥界さんは胃袋ないくせに喉は乾くらしい

「もう!! 一々細かいな!!」