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親戚の方々。 ページ14

「ありがとうございました〜」

「どうも」

宅急便の人に軽く礼を言って少年はバタンと扉を閉めた。

「冥界さん お米届きましたよ」

どうやら注文していた鈴芽の米らしい。

「今回は届くの遅かったな」

「指定した日にちより3日遅れてます」

少年はそう言って米袋をズルズルとキッチンへ引きずっていく。

「おいおい引きずるな 貸してみ」

私がそう言って米袋を持ち上げた瞬間、

ドシャァ…

「…は?」

米袋のそこが抜け、米が滝のように床に落ちて、小山を作っていた。

「……のぉおおおおおおおお!!」

「わぁ 見事にそこが抜けてますね」

少年は私の絶叫をスルーし、空になった袋を持ち上げる。 ちょっと待て、ナニコレ なんなのこれ!! お金もったいない!!

「鈴芽に文句言ってくる!!」

瞳孔をくわっと開いて私は家を飛び出した。



「ナニコレ…」

古びた米屋の前で、私は再びそうつぶやいた。
この光景はある意味珍百景ではなかろうか。
目の前の米屋の屋根におぞましい数の雀がびっっっしりと並んでいた。

「おしくら饅頭でもしてるんでしょうか?」

いつの間にかついてきた少年がそう言う。コイツ地味に神出鬼没だな。
屋根の上の雀達は静かにこちらを睨んでいた。
怖いんだけど…めっちゃ怖いんだけど!!

「と、とにかく 中に入るぞ」

勇気を出して一歩前に踏み出すと、雀達が騒ぎ出す。中には威嚇している雀もいた。

「ひぃぃっ!」

思わず少年の後ろに逃げ込んでしまった。

「いい大人が何やってるんですか」

「だ、だって怖いじゃん!! 食べられたらどうすんの!!?」

騒ぎを聞きつけたのか、店の奥から店主が現れた。

「あら、冥界さん!! いらっしゃーい」

この店の店主、もとい鈴芽は私達を見ると顔をぱぁと輝かせた。

「お米は届いた? 実はいろいろあって…」

「ちょっ、ちょっと待て!! 先にこいつらをどうにかしてくれ!!」

鈴芽の言葉を遮り、今もまだ威嚇している屋根の上の雀達を指さす。
それを見て鈴芽は あぁ! と言わんばかりに手のひらを拳でポンと叩いた。
威嚇する雀達を落ち着かせた鈴芽は私に向き直った。

「ったく…なんなのこの雀達…」

「ごめんね この雀達は全部私の親戚なの」

鈴芽は申し訳なさそうにそう言った。

〜冥界の主観察日記〜

・冥界さんは結構怖がり

「ち、違う!! あれは…じょ、条件反射だ!!」

「条件反射で僕の後ろに隠れるんですか…」

親戚の方々。2→←魔物召喚。



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作品ジャンル:ギャグ, オリジナル作品
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黒猫柚月(プロフ) - 少年君、面白いです! (2016年5月26日 21時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜アルペジオ(プロフ) - たのしみにしてます!! (2016年2月26日 17時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
白桜 - とても面白いです!いつも読ませてもらってます。 (2016年2月11日 20時) (レス) id: b28f5a93d4 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - おもしろかったです!よかったら私の作品 見てください (2016年2月10日 15時) (レス) id: d722fb9a07 (このIDを非表示/違反報告)
sayaka(プロフ) - ヘモグロビンさん» いえいえ。ありがとうございます。 (2015年12月25日 20時) (レス) id: a1946caf5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:でんでんむしの奇行種 x他2人 | 作成日時:2015年3月7日 20時

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