冥界の主と少年。 (ページ2)

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出会った。ページ2

私は冥界の主ってやつで、死んだ人達の魂が天国へ行くか地獄へ行くか決めるのが私の仕事だ。

今日は一人の少年が冥界にやって来た。

まだ若いのに死んでしまったのか…可哀想に。

私はゆっくりと少年に近づき、いつもと同じように問う。

ひとつだけ残すなら太陽か、月か。

少年はしばらく黙っていたかと思うと、ゆっくりと口を開いた。

「…どっちでもいいです。」

「あれっいいんだ！？」

予想外の答えに思わず突っ込んでしまった。すると少年は困ったように見上げてきた。

「…欲しいなら全部持っていっていいですよ」

「別に欲しくねーよ!!なんだよその哀れんでるような目!!誰がいるかあんなデカイやつ!!!」

また予想外の言葉に突っ込んでしまった。

こいつは手強い…

私は咳払いをしてさらに少年に問いかけた。

「それは……なぜだ」

「あなたは冥界の主ですよね？って事は僕は死んだんですよねあなたが言ってる『この世界』はおそらく現世のこと…死んだのに現世のことなんて一々気にしてられませんよ。」

少年は無表情を崩さずにサラッとそう言った。

「吹っ切れちゃってるよこの子… テストで『前の教科の点数なんて一々気にしてられませんよ』みたいな感じで吹っ切れちゃってるよこの子!!!」

こ、この子の性格はサッパリしてるって言えばいいのか？

って言うか随分と自己中心的な考えだな!?

「…天国か地獄、僕はどっちに行ったらいいんですか？」

少年はどうやら待ちくたびれたようだ。

そうだった。私が決めないといけないんだっけ…

ツッコミに必死になって忘れるところだった。

少年は無表情のままだったが、周りのオーラでちょっと苛立っていることがわかった。

めんどくさいヤツだから適当に地獄行き…

いや、あそこは十八歳未満立ち入り禁止だったっけ…

この子どう見ても五か六歳くらいだよな…

「あー…じゃぁ天国で」

「今適当に決めましたよね。」

「悪かったな!! ほらさっさと行く!!」

「わかりました短いあいだでしたがお世話になりましたそれでは」

そう言って少年は私にペコリと頭を下げて天国の門をくぐっていった。