メリーメリーディナー ページ11
あまり年中行事に興味を持たない私でも、クリスマスの日くらいは覚えている。…目覚ましを止めるまで気がつかなかったけれど。
とはいえ、何かあるわけではない。普通に支度して、普通に仕事。
『おはよございまーす』
人気のないスタジオでコーヒーを飲む。冷えた体を暖めるのにちょうど良い。
カップを捨ててうとうとしてきたところで扉の開く音がして、
「おはよう海ちゃん…起こしちゃった?ごめんね」
『わ、のじけんさんおはよございます、大丈夫です』
野島健児さん、通称のじけんさん。多彩な先輩である彼とは、料理仲間でもある。
「そっか、ならよかった。これ返そうと思って」
そう言ってのじけんさんが渡してくれたのはタッパー。この間ビーフカレーを入れたやつだ。
『あ、有り難うございます…って重!』
何か入っているようだった。のじけんさんを見る、
「メリークリスマス」
爽やかに笑っている。そっと開けると入っていたのは、
『ローストビーフ?!』
「おすそわけ、よかったら」
『いいんですか?有り難うございます』
売り物みたいに美味しそうだ。
『やったー、帰ったらすぐ食べます』
「感想聞かせてね」
『もちろん!』
綺麗に盛り付けられたそれに蓋をして、鞄に入れる。あまりにもいい匂いだから油断するとお腹が鳴ってしまいそう。
それにしてもすごいクリスマスプレゼントだ、私も何か作ってこればよかった。…あ、おせち入れて返せばいいかな?
「ビーフカレーすごい美味しかった、ありがとね」
『あ、有り難うございます』
料理上手なのじけんさんにほめてもらえるととても嬉しい。リップサービスなのはわかっているけれど。
「今お世辞だとか思ってるでしょ、ホントだからね?」
『えっ』
「はは、図星って顔してる」
あまりにも多彩すぎて、人の心でも読めるようになったんだろうか。
仕事を終えて家に帰る。夕ごはんは特にクリスマスらしくしようとか思っていなかったのだけれど、せっかくローストビーフをいただいたからクリスマスに寄せてみようかな。帰ったら軍曹の散歩がてらお酒でも買いに行こうかな。
階段を上った瞬間、部屋の扉の前を見て足が止まる。
『…安元さん?』
「おう、おかえり」
『ど、どうしたんですか』
「クリスマス飯作ろうと思って。いい?」
持った袋を掲げる安元さん。…あ、材料か。
『わーい、手伝います』
「お酒もあります」
『安元さん大好き』
サンタさんは来ないけど、私には幸せなクリスマスだ。
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虚無 - ←下野さんの鳩胸にツボった津田さんヲタ (2023年5月5日 9時) (
レス) @page27 id: 4a11fac183 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみら(プロフ) - 沙那さん» コメント有難うございます。元々 海は一次創作のキャラクターだったこともあり、このお話は海の主観で書くことが多いです。故に、沙那さんの‘海ちゃんの世界観’というお言葉がとても嬉しいです。有難うございます。これからも瀬良海をよろしくお願いします。 (2019年9月11日 1時) (レス) id: f5d1b07a4d (このIDを非表示/違反報告)
沙那(プロフ) - 初コメ失礼します。毎話の更新を楽しみにしており通知が来る度に海ちゃんの世界観に浸れることを嬉しく思いながら読んでいます。個人的に安元さん鳥海さんが出てくるお話しが好きで読み返すことも結構あります。これからも無理のない程度に頑張って下さい。ファンより。 (2019年9月10日 13時) (レス) id: 5472d240eb (このIDを非表示/違反報告)
ゆみら(プロフ) - 悠さん» ご期待にそえていたようでよかったです(T0T)！！！！こちらこそリクエスト有難うございました！！ (2019年2月17日 5時) (レス) id: 46d3533f79 (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - リクエストありがとうございました！！いいバレンタインになりました！！！！！！ (2019年2月16日 13時) (レス) id: bec5e9e265 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：留鳥カナメ | 作成日時：2018年11月20日 19時
