【声優】瀬良ちゃんが愛されている。のいち。

宴の予感 ページ48

朝起きる、時計を見ると12:30。

『もうひるじゃん…』

重い体をベッドから起こして、裸足で歩くにはもう冷たいフローリングをリビングに向けて歩く。ソファーベッドに掛けて、充電していたスマホを確認。特に連絡は入っていなくて、何となく片手に持ったまま…あ、何か眠くなってきた。

『わ、ビックリした』

うつらうつらと瞼が閉じかけたとき、足首に温かいものが触れた。

『軍曹、おはよ』

寝かけた私を起こすためか、くるぶしを舐めたのは軍曹。重くなってきたのを頑張って抱き上げ撫で回す。

『散歩ですかね旦那』

キラキラした目で見られると、起きないわけにはいかない。一度下ろして着替えと洗顔を済ませ、お茶を少し飲む。

『よしゃ、行こっか』

平日の昼下がり、少し曇った静かな住宅沿いの道を選んで歩く。自分で言うのもなんだけど、最近歩いていてファンの方に声をかけてもらう機会も増えた。だから何となく、お休みの日はお休みでいたい。…贅沢だろうか?

「あれ、海ちゃん?」

そんなことを考えていた矢先、声をかけられておそるおそる振り向く。

『…あ、中村さん!!』

中村悠一さんだった。知っている方だと気兼ねなく話せる。

「やっぱり海ちゃんだった、…軍曹でかくなるの早ぇなぁ」

『もう重たいですよ、すねにタックルされると結構なダメージくらいます』

「うん、そんな感じするわ。海ちゃんは今日オフなの?」

『そうです、中村さんはお仕事ですか?』

「いや、俺も今日は仕事ないんだ。遅めの昼食った帰り」

『そうなんですか…あ、じゃあこの後お暇ですか?家で飲み会やるんですけどよければどうですか、安元さんとか杉田さんとか、あと細谷さんと江口さんもお誘いしたのですけれど』

「えっそれは行きたい、じゃあ一回家帰ってから向かうわ」

『お待ちしてますね』

そうと決まればおつまみを増産せねば。近くのスーパーマーケットへと目的地を変更しながら、声をかけられるのも案外悪くないかもしれないとか現金なことを考えるのだった。

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