自販機。 ページ26
暑い、と思った。
もう9月だし、昨日は19℃だったのに。
何故だか今日だけ28℃だし、何故だか今日だけ水筒を忘れた。…折角お茶いれたのに。
何だかツイてないなぁ、と思いながら駅の自動販売機の前で立ち止まる。
『ピーチティーか、カフェオレか』
あまり値段が張らなくて、スッキリしてる方。…ピーチティーかな。
普段は水筒派なので、自販機はなかなか使う機会がない。財布から小銭をだした、120円。
…が、
10円玉が指から離れていった。
後ろにいた人の足元に落ちてしまう。ちょうど、靴のそばに。…何て拾いにくいところなんだろう。
『す、すみません』
ああ、今日は厄日だな、とか思いながら慌てて10円玉を拾って、バッとその人の顔を見る。
『え』
「あ」
10円玉はまた落ちた。
『い、石田さん…!』
「…瀬良さん、どうも」
石田彰さんだった。そりゃ10円玉だって落ちるだろう、まさかの大先輩だ。
『おはようございます、すみませんお待たせしてしまって』
拾い直した10円玉は自販機に押し込んで、急いでボタンを押す。
「別に大丈夫です、急いでないんで」
あまり人と交流しないと言われる石田さん、ご飯を食べに行った店やコンビニで偶然お会いすることが重なって、お話しできるようになった。
ガコン、とピーチティーが降りてきた。屈んで取り出して、お待たせしました、と去ろうとすると、
ピピピ…ピコン!
愉快な機械音の後にファンファーレが鳴って、
ガコン
さっきと同じ音がした。
思わず自販機の前に後戻りして、何が起きたのか確認しようとする。
『…?』
特に何か変わったことはなくて、戸惑う。
「あの、あたってますよ」
石田さんが指差した先に、小さなルーレットみたいなものが。真ん中に書かれた＜アタリ!＞の部分が点滅している。
『あ、当たり?』
何の事だかわからなくて、石田さんを見てしまう。石田さんは取り出し口を見ていて、
『あれ…え、ピーチティーが当たったってことですか』
「そうです」
まだ冷たいピーチティーがもう一つ手元に増える。
『…最近の自販機凄いですね』
どうしようかなこれ、と思いながら、とりあえずその場を退く。2本も要らないのだけれど。
…そんな時、妙案を思いついてしまったのだ。
『あの…、ピーチティーはお嫌いですか』
---
『あ、鈴村さん、おはよございます』
「あれ?またピーチティー。さっき石田さんも…流行り?」
『…んー、まぁ、そんなとこです』
「何それどういうこと?!」
『ふふ』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ryoriisa(プロフ) - ゆみらさん» ボードに移動するので、そちらでお話もしましょう！ (2018年9月24日 7時) (
レス) id: 6d61661040 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみら(プロフ) - りささん» こちらのボードなどでのやり取りなら可能なのですが、Instagramは使い方がよくわからなくて(-_-;)本当にごめんなさい… (2018年9月23日 18時) (レス) id: 46d3533f79 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - ゆみらさん» そうなんですね…残念です…ワガママを言ってすみませんでした。 (2018年9月23日 18時) (レス) id: 6d61661040 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみら(プロフ) - りささん» 成程！そういうものなんですねぇ！面白そうですね！申し訳ないですがツイッターしかやっていないんです… (2018年9月23日 17時) (レス) id: 46d3533f79 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - ゆみらさん» リレー形式はですね、どちらかが設定、登場人物書いていき、サブタイトルなども決めながら交互に書いていくという感じです！もしよかったらぜひやりたいなと思ってコメントをさせていただきました；；；；ちなみにSNSでInstagramやっていますか…？ (2018年9月23日 14時) (レス) id: 6d61661040 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：留鳥カナメ | 作成日時：2018年8月29日 12時
