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A「だから女性は昔から特に苦手だったんだけどね。」
ベロニカ「だからA様は必要以上に関わらなかったのね……。」
勿論、話の続きはあるわよ?
***
それからも、事あるごとにデルカダールの王女様はユグノアへ来た。
その度に私は彼女を避けるべく、なるべくエレノア様と出会わないようにしていた。護衛ならあの2人がやってくれていると、甘えていた。
そんなある日、私が齢12歳を迎えて数ヶ月が経った頃、エレノア様がご出産なさった。
そう、これこそが正しく勇者イレブンの誕生の瞬間だった。
エレノア「A、抱っこしてみて。」
A「わ、私がですか……?!」
エレノア様は、私に1番に抱っこさせてくれた。それが何よりも嬉しかった。私だけが特別なのだと感じてしまいそうな程に。
それから、私の仕事は増えた。
エレノア様が忙しい時は私が代わりにイレブンを見ているということ。
イレブンは非常によく泣く子だったのだが、私が歌を歌ってあげると直ぐに泣き止んだ。
まぁ、マルティナ様が来た日は私が出る幕なんて勿論の事無かったけれど。
そんな幸せな時も束の間。
イレブンが生まれて間もない頃に、四大国会議が開かれたのだ。
そう、イレブンは勇者の証であるアザを携えて生まれてきたのだ。
私と同じアザを……。
A「本当はね、凄く不安だった。イレブンも同じ目に合うんじゃないかって……。」
イレブン「……?」
A「私はこの首筋のアザを持って生まれてきて良い事なんてこれっぽっちも無かったから、もしかしたら……なんて思ってた。」
そんな私の嫌な予感はやっぱり的中しちゃったんだ。
あの大雨の日、全てを奪われ、壊された日。
エレノア「A、最後のお願いよ。マルティナとイレブンと一緒に逃げ延びてちょうだい……!」
A「嫌です!主をお守りするのが私の務め!最期まで果たさせて頂きます!!」
私は無理を押してエレノア様と共に走った。暗い暗い、森の中をたった2人で。
A「きゃっ!」
この私の不注意な行動が完全なる失敗だったのだ。
エレノア「Aっ!」
"────。"
エレノア様は私を庇い、魔物と共に落ちてしまった。崖の底に、真っ直ぐに。
A「エレ……ノア様…?」
最後の……本当に最後の使命を果たさなきゃ…!
そう思い、急いで私は踵を返した。
"ごめんなさい、ごめんなさい"と心の中で懺悔を繰り返しながら…。
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KFC組を愛し隊 - 、、、何だろう、この勇者のショタっぷり、、(誉め言葉) (2020年9月26日 16時) (レス) id: edd235e4c2 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 良い話ですね…(泣)感動しました。これからも更新頑張ってください!応援しています( ´ ∀ ` )ノシ (2017年12月23日 3時) (レス) id: 6160959f20 (このIDを非表示/違反報告)
初音♪ゆいか(プロフ) - ミファーさん» ありがとうございます^^* (2017年12月3日 10時) (レス) id: 97a168b901 (このIDを非表示/違反報告)
ミファー - 楽しみながら見ています!これからも頑張ってください!(゜∇^d)!! (2017年12月2日 21時) (レス) id: a08f22c5ed (このIDを非表示/違反報告)
初音♪ゆいか(プロフ) - カグレさん» カグレ様、初めまして。そう思って頂けて嬉しいです。どうぞこれからもこの小説を宜しくお願いします。 (2017年11月3日 21時) (レス) id: 97a168b901 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:初音♪ゆいか | 作成日時:2017年10月10日 21時