海人ルート【 1 】海人side─2 ページ43
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目をキラキラさせながらクマを見ていて、そのまんまのテンションでやって来たAちゃんは、やっぱり可愛い
ようやく、年相応の女の子の顔が見れた気がする
でも、ちょっと後ろめたい
凄い凄いって言ってくれるけど、まだ全然足りない
他の皆ほどの結果は出せてないんだ
だから、そんなに褒めないで……
確かに珍しいスキルだけど、もっと力があれば、もっと強力なのを実体化させたり、長時間実体化させる事も出来るのかもしれない
そこに到達できていない俺は、
まだまだ褒めてもらえるほどではない
仰向けに寝転び空を見上げれば、ゆっくりと雲が流れていく
こんな明るいうちから気を抜いて過ごせるのも久しぶりだ
魔物の唸り声も聞こえず殺気も感じない穏やかな空気のせいだろうか
スルスルと口から流れ出る素直な胸の内
Aちゃんの気持ちを楽にしてあげたくて誘ったのに、まさかの俺が愚痴ってるとか、もうほんとダサ過ぎて嫌になる
しかも、気遣うように相槌を打ちながら話を聞いてくれるAちゃんに、どんどん甘えたくなってしまって焦りが加速してく
「ねぇ、Aちゃんはなんでそんなに頑張れるの?笑顔でいられるの?あんな怖い目にあって、初対面の俺らといきなり一緒にいる事になって、毎日魔物は襲ってくるし、わかんないことだらけだし、不安じゃないの?もうヤダって泣きたくなんないの?」
違う、違うんだ
こんな責めるみたいに言いたくないのに
バカー!俺のバカー!
こっからどうしよ……
次の会話をどうしようかひたすら考えていたら、ポツリポツリとAちゃんが話し始めた
最初は夢だと思ってたとか、今も現実味があるような無いようなとか、でもその中でも経験は糧になると思う、とか
恩返しなんてワザワザしなくても、もう俺ら充分Aちゃんから元気もらってるよ
大変な状況の中でもこんなに前向きに考えて行動してるなんて
そんなAちゃんだから、皆に好かれるんだね
俺も含めて、皆Aちゃん大好きだから
クマでも何でも、俺の力で喜んでもらえるならいくらでも描くよ!
もっと凄いこと出来るようになるよ!
Aちゃんには、笑顔が似合うから
無理して笑うんじゃなくて、
心から笑って欲しいから
よっしゃ、やるぞー!!
まずは歓迎会でパーっと盛大にお祝いしないとね!
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作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時