第5話 緊張 ページ5
鼻歌を歌いながら、私を軽々と抱きかかえて青年は歩く
「俺は平野紫耀。こっちは岸くん」
「岸優太っす」
「そんなに遠くないところに俺らの仲間がいるから、そこに行くね。あ、名前、聞いてもいい?」
『…あ、えっと、AA、です』
「Aちゃんね!よろしく〜」
『あ、はい』
綺麗な顔だなぁ
所謂イケメン枠には確実に入るであろうお顔立ち
…………
……………
わぁぁぁっ
私ったらお礼も言わず、しかもこんなイケメンにお姫様抱っこしてもらってるって何事!
いろいろありえない!
幸い、さっきより痛みは引いている
歩けないことはないだろう
あ、えっと、とりあえずお礼言わなきゃっ
『ああああのっ!助けていただきありがとうございましたっ!このご恩は一生忘れません、あの、歩けますんで降ろしてください!」
顔が熱い
きっと私の顔は真っ赤になっているはず
それを見て、平野さんと岸さんが笑い出す
「元気そうで安心した!」
「いきなりすごい勢いで百面相はじめてどうしたのかと思ったわ」
『あの、ほんと下ろしてください、重いので申し訳ない…』
「余計な心配しない!女の子って軽いね〜」
『でも…』
「真面目な話、大丈夫には全然見えないの。多少は痛みが引いたかもしれないけど、無理はしない方がいい」
『…はい』
黙って隣を歩いていた岸さんが申し訳なさそうに口を開く
「あの、もう少し早く対処できていたら女の子にこんな傷を作らなくて済んだのかなって…遅くなってマジさっせん」
もしかして、責任を感じているのだろうか
『そんな事ないです、本当にありがとうございます。岸さん達が来てくれなかったら、今頃は…』
………………考えたくもない
そうだ
夢にしてはリアル過ぎるし、これは現実なの?
ここはどこなのか
何が起こっているのか
謎だらけだ
初対面だけど、今はこの人達は信じるしかない。あんな状況で助けてくれたのだから、悪い人達ではないだろう
逞しく優しい腕に抱かれて気が緩んだのか、いつの間にか眠りに落ちていた
42人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時