第4話 救世主 ページ4
狼みたいな獣が吹っ飛び、目の前に赤いサーベルを持ち私を守るように背を向けて立つ青年がいた
「やっぱ遠すぎて一発じゃ無理だわ」
もう一人、小走りで近づいてきて短剣を手に隣に並ぶ
脚にナイフが刺さって倒れた獣が体勢を立て直して飛びかかって来たところを、青年がサーベルを左から右になぎ払うと、獣はパリーンと音を立てて砕けた
私は、目前で繰り広げられる非日常な光景を、ただ黙って見ているしかなかった
────────
「間に合って良かったー!岸くんがナイフを投げてくれなかったらヤバかった」
サーベルを鞘に収めながら青年が口を開く
「さすがオレ」
獣が消えた辺りでナイフを拾いながら、もう1人の青年が答える
「一発で仕留められなかったけどな」
「いや、ガチであの距離は無理だって!」
異形のモノと戦った後とは思えないほど緩い空気感で会話をしながら2人が振り向いた
振り向いて、眉間にしわを寄せる
「………間に合ってなかったな。痛そう…」
「………あの、大丈夫っすか」
「大丈夫には見えないでしょ。玄樹に治してもらおう。ねぇ君、とりあえず俺たちのところにおいでよ」
頷くと、サーベルを携える青年が、ちょっとゴメンね、と言いながら私を抱き上げた。
『っっ!』
獣の爪が食い込んでいた肩口と、戦ってる間に手足にも擦り傷ができていたようで、ジリジリと痛む
「あぁぁっごめん、痛いよね。んー…どうしよう」
「紫耀、回復魔法つかえんだろ?」
「あ、そうだった!」
紫耀、と呼ばれた青年が傷に向かって手をかざすと、淡く光を放ち患部が温かくなる
光が消えると細かい傷は消えていた
「ごめん、俺、応急処置くらいの回復魔法しか使えなくて、玄樹ならちゃんと治せるから行こう」
どこに行くのか、この人たちや玄樹が誰なのか
あまりの展開の早さに思考が追いついていかくて、はい、と返事をするのが精一杯だった
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作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時