海人ルート【 1 】─ 2 ページ40
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『描くと何でも実体化できるの?』
「ん〜あんま無茶なのは通らないっぽい」
動物が多いのは、単純に好きだからだそうだ
馬の背中に翼を付けてみたり(所謂ペガサス)、
虎にキャノン砲を背負わせてみたけど
実体化しなかったって
「もしかしたら、まだ力が足りないだけかも」
自嘲気味に笑って頭の後ろに両手を組んで寝転び、空を見上げた
「………紫耀はね、昔から凄かったんだ。身体能力がすごく高くて、おバカだけど体を使う事はすぐにマスターした。魔物討伐にも大人と一緒に同行してたんだよね。頼りになるお兄ちゃんで、ずっとずっと憧れ」
「廉は頭が良くて、魔法の力が目覚めてからは、ほんと早かった。あっという間に使いこなせるようになっちゃって、逸材だーって大人が大騒ぎしてたなぁ」
海人くんの独白に共鳴するように風が吹き抜けサワサワと木の葉が揺れる
『海人くんだって、充分すごいよ。あの能力って珍しいんでしょ?』
「……確かに珍しいけど、レアなのと使えるのは別物だから」
そうだろうか
実際、いろんな動物を実体化させて魔物を倒してるのを見てるし、みんな海人くんを頼りにしてると思うんだけど……
「この力が目覚めた時、紫耀と廉が"これは皆を笑顔にしてあげられる力なんだから使わなきゃ"って、"一緒に組もう"って誘ってくれたの。すっげー嬉しかった。でも、何でも出来る紫耀と逸材な廉と比べて俺全然ダメで。だいぶマシになったとは思うけど、今もまだ自信が持てない」
『そっか……』
知らなかった
人懐っこくて、
いつも人の輪の中心にいるような海人くんが、
こんなに悩んでいたなんて
なんて声を掛けてあげたらいいんだろう
何を言っても安っぽくなりそうで言葉に詰まる
沈黙に耐えられなくなったように、海人くんが勢いよく起き上がった
「ねぇ、Aちゃんはなんでそんなに頑張れるの?笑顔でいられるの?あんな怖い目にあって、初対面の俺らといきなり一緒にいる事になって、毎日魔物は襲ってくるし、わかんないことだらけだし、不安じゃないの?もうヤダって泣きたくなんないの?」
私は………
『ここに来た時は、夢だと思ってたから、早く覚めて!としか思ってなかったんだよね。今もまだ正直、半分夢の中にいるみたいな気もする』
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作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時