続き2 ページ13
「嫌だよ…俺、Aを殺したくなんて……」
『でもどっちみち殺されちゃうんだからさ、いいんだよ。それにきんときに殺されるなら私は構わない』
そう俺を慰めるように言ってくるAであったが、悲しそうな表情が更に俺の心をキュッと苦しめる。
「俺にAは殺せない…せめてどこかへ____」
"逃げてくれ！！"
そう言おうとしたが、ここらが砂漠で囲われていることを思い出す。せめて前の拠点のような場所だったら何とかなったかもしれないのに…
『…いいの、きんとき。それより、私の最後のお願い…聞いて貰える？』
「ああ、Aのお願いならなんでも聞くよ」
『ありがと！それじゃあさ、私をここから出してもらえる？勿論逃げないよ！…最後に、私からきんときに触れてみたいから』
「…うん」
俺はAが傷つかないよう慎重に、塞いでいたものを壊してAを出した。
『これが自由…！』
「そうだよ」
『えっ、じゃあきんときに触っていい？』
「うん…」
そっとAの前に右手を出すと、Aは両手で俺の手を包み込んだ。
『暖かい…』
「Aは冷たいな」
『私冷え性だからw』
軽く会話をしていると、Aはそっと俺の手を離した。
『…今までありがとう。きんときと居る時間はずっと楽しかったよ』
『愛してる』
Aは背伸びをし、俺の口へキスをした。そのキスは優しく短いものであったが、俺の心には広く響いた。
『…キスするのって結構恥ずかしいねw』
「わざわざしてくれてありがと」
『いやいや！私がしたかっただけだし！』
「そうか。…なんか、Aは相変わらずだなww」
『こら、馬鹿にしない！』
頬を膨らませて怒るAは愛おしく、気づけば俺は笑顔になることが出来ていた。…俺も男だ。覚悟を決めよう。
『きんとき、笑顔になったね』
「お陰様で」
『じゃあ…また来世で会お！』
「……ああ、またな！」
俺は斧を両手で持つとゆっくりと振り上げ、愛する人へ思いっきり_____
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作者名：リリルル | 作成日時：2020年1月8日 4時
