【WT】恋愛短編のお話③【実況者】 (ページ17)

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「それで、Aはどうしてここに来たの？」

『雨宿りで少し利用させて貰って…るよ…？えと、きりやんは？』

うっかり敬語が出そうになりながらも、何とか持ちこたえる。

「俺？んー…秘密！」

『え！』

まさかの回答に言葉が詰まる。…そういえば見た目が好きすぎてさっきで気にならなかったけど、なんでこんな格好でここいるんだろ？

『ねぇき、きりやん』

「んー？」

『きりやんは何者なの？』

「…秘密」

『じゃあ何歳？』

「……人には何個か秘密はあるでしょ？そういうこと」

ね？と笑顔で微笑んで誤魔化すきりやん。

…怪しい。見た目に惑わされて違和感なかったけど、もしかしてきりやんって不審者だったり？

『(ちょっと離れとこ…)』

危機感を感じた私はそーっときりやんの傍から離れる。しかし、すぐに気づかれてしまった。

「ちょっと、なんで離れるの？」

『いや…なんかきりやん怪しい…』

「怪しくないよ！普通の人間！」

『ホントかな…？』

怪しみながらきりやんを見ていると、ふわっと自分の頭に暖かさを感じる。

「ほら、触れてるから人間だし、不審者だったら襲ったりなんだったりしてるでしょ？」

「ね？」と説得させるように話すきりやんだが、私の耳には入らない。それは、きりやんに頭を触られている事で頭がいっぱいだからだ。

『？？？』

「…ん、なんかA赤くない？大丈夫？」

『えっ、だっ大丈夫、大丈夫だよ！？』

「動揺しでしょw」

私の動揺っぷりを見てか、きりやんは安心しきった顔で私の頭をポンポンとする。

『いやもうさ…』

「どうしたの？」

ニヤニヤしながらそう聞くきりやんを見て、私は察する。

『(絶対私の気持ちわかってるわぁ)』

からかわれたことへの怒りと尊さが重なり何が何だかわからなくなる私は、ただただ顔を赤くさせた。