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学園外は色々と熱砂の国とは違いがある。
もちろん気候もそうだし、食べものに服装...
今日の目的とするカレーに使うスパイスだって一見同じもののように見えるが、全く違う。
『そんなに??』
「あぁ。そんなに、だ。」
パクパク桃色の綿菓子を口に運ぶ。
彼女が持つ先程より随分と減った綿飴は歯が痛くなるぐらい甘かった。
──────此処を少し行った人通りが少ない道の奥に、行きつけの秘密の店がある。
それにしても彼女は器用だ。特に可愛こぶって一口一口が小さい訳でもなく、べドベトに口元を汚す訳でもない。
パステルカラーでふわふわな水を含むと直ぐ溶けていく綿飴。
まるで彼女のようだ。
脚を止めずくだらない事をぼう、っと考える俺を、不思議そうに首を傾げる君でさえも泣かせてしまった自分を全力で殴ってやりたい。
黒く深く暗まる心にゆっくり蓋をして、また“何でもない”その一言だけで返事をした。
探りをそれ以上入れてこないのは、君と約束した内容を破らないと確信しているからか
それとも...
...
チリンチリン、と控えめに鳴る入店を知らせる音。
運良く俺が持っていたウエットティッシュで口元から手を念入りに拭く姿も愛らしい、なんて
暫くベタつきを無い事を確認してから下がっていた目線を上げ遠慮がちに俺の手の甲に触れた時は心臓が爆発するかと思った。
通行人も数える程しか居ない。
し、仕方ない。しっかり繋ぎ直して“満足か”と精一杯抵抗してみれば彼女は頬を緩ませて頷く
若干、ほんのりと、紅く染まる耳。
....俺とは対照的に表情豊かで常に自分の考えで動くタイプ。
苦手というか、そんなの通り越して大嫌いなはずだった。
どうも彼奴を連想するから。
『先輩のカレーの匂い.....』
香辛料のピリリとした香りが嗅覚を刺激する。
そう言って微笑んで俺を見上げ嬉しそうに話すから、静かに肯定してやれば笑みを深めてる彼女。この二年間で何度か訪れているからか、出迎えてくれた店主は“お熱いねぇ”なんて茶化す
俺が心底めんどくさい、と言った顔をしていたのか軽く謝罪し何時もの調子で目当てのスパイスを聞いてきた。
幾つかの名前を出すと、これまた珍しいのを、と楽しげに言いカウンターの奥へと入っていく
彼女はというと、全体的にオレンジ色で統一された店内を見回って楽しそうだ。
棚にズラリと並ぶ透明の瓶、天井から吊り下げられた唐辛子、聞き慣れた陽気な音楽───
ふと彼女が足を止めた
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作者名：愛奈 | 作成日時：2021年1月2日 5時
