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我慢しない/JAMIL ページ9

※4章後じゃみ
※あますぎて笑う



‐ジャミルsied‐









「....A。待たせたか」

『!!───先輩。大丈夫ですよ、走ってきてくれたんですか?』

「まぁ。だが、俺の用にも関わらず、」









「..............嫌。何でもない」

『.....ふふふ。はい。でも、楽しみです』


あの件から体調が回復した俺は、変に流れた噂を覆すべく、平凡に、大人しく過ごしていた。

それまで“我慢”に囚われすぎていたのか、正直の所、学校内での信頼と引き換えに今までズッシリ背中にもたれかかっていた何かがスッー...と抜け落ちたように感じている。

通り抜ける程よい暖かさを含む風は、嬉しそうにふんわりと微笑む彼女を包み込んだ
息を整えて、柄にもなく、ぎこちなく差し出してみた俺の手に彼女は緩く手を重ねた。


あの時、優しい君は自分の事のように綺麗な瞳に零れ落ちそうなくらいの涙を溜めて何度も俺の名前を呼んでずっと首を振っていた。今にも叫び出して、感情に任せてめいいっぱい爪を食い込ませた掌を俺に飛ばしてきそうなくらい。

奥底の決心がグラリと揺らぐ音がして、悲しみに満ちた表情を見ていたくなくて

波のような罪悪感が俺を襲った。


『わぁ。美味しそうな綿飴.....』

「君は相変わらず甘い物に目が無いな」


『可愛いじゃないですか、美味しいし。』

「....へぇ。食べものが...可愛い、か?」

立ち止まった甘党の彼女が零した。チェックのタイトスカートを身に付け、いつもは下ろすだけのミディアム程の長さの髪がハーフアップにされている。少々輝いた瞳と、サラリとした髪の間から見える白い肌に自然と視線が行く。

純粋で、真っ直ぐな君の方が可愛い、口端から漏れ出しそうになる言葉をグッと飲み込んだ。

「待ってろ」

彼女のお望み通り、顔と同じぐらいある大きさの綿飴を受け取って絡んでいた指先を持ち手に移す。まさか俺が願いを聞き入れる思っていなかったのか、彼女は大きく目を見開きつつも途切れ途切れに小さく御礼を述べた。

『ふふ、先輩じゃないみたい』


あぁ、本当に柄じゃない。自分でも思う。

どうした俺。
何処へ消えた俺の性格。


どうした?俺。


長い睫毛が縁取る目と、パチッと視線が絡む。
驚きから嬉しそうな形に変わり俺を捉えた

その瞬間、身体全体が熱を持った気がして、甘い香りを放つ綿飴に顔を重ねる。パ、っと棒を持つ手を傾けて茶目っ気たっぷりな表情を浮かべる彼女のお陰で更に体温が上がった。

▽→←おまけ



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作者名:愛奈 | 作成日時:2021年1月2日 5時

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