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「学年、クラスと来たら...普通、寮まで同じでは無いんですか」
『まだ引き摺ってるの?』
「当たり前です。
監督生さんと居るとハプニングばかりですよ、危険でしか、」
『ユウくんに救われたのでしょう』
「───...........誰に聞きました?」
『昨日の夜に彼が』
長い沈黙の後、彼となんて呼ばないでください、と苛立ちを隠そうともせず吐き捨てる。
昨晩、最終手続きを終え、この寮へ引越しした後ゴーストさんやユウくん、グリムさんと今のように紅茶を飲んだ。香りや喉への感覚、味から何まで慣れるのはまだまだ難しいと感じた。
...その際に、アズールが“オーバーブロット”をしたと、ユウくんが口にした。今の反応を見るに、彼は知られたくなかったみたい。けれど、内容を聞く限り、無理をしていたのには間違いはなく、それを私に話さなかった事も事実のよう。そんな話1ミリたりとも話さなかった。
彼は良くも悪くも、プライドが高いのだとグリムさんが言っていた。
確かにな、と思わず頷いてしまった瞬間、さばなくろー...寮の寮長の方に契約書を砂にされた、という言葉が耳に入った
だからなのか、と。もしかして、と思った。
『ね、アズール。聞いてもいい?』
「...えぇ、まあ」
『.....私との契約書、消えちゃったの?』
膝で頬杖をつき、ティーカップを静かに置いて横目で此方を見る彼は、酷く切なく、哀しそうな瞳をしていた。
────聞いて欲しくなかったんだろうな。
引いても良いのだろう。けれど、ダメな気がした。どうしても、彼の口から話して欲しい。
残酷と思える程優しく、肩に手を乗せて言葉を促した。
「...恨みましたよ、そりゃあね」
『その方を?』
「レオナさんだけじゃありません。
...勿論、自分もですよ。醜い自分もです」
『うん』
「アレが消えたら、僕は、...何も残らないと思ってましたから。
昔の僕に、戻ってしまうと」
『...良かった、過去を振り返る口振りで』
「...それでも、迎えに行くと言って、貴女の気持ちも知らないで、勝手に突き放して」
『そんな事ないよ』
「ですが、」
彼の口元に手を寄せて、緩く言葉を遮断する。
『だって、契約書が無くても、私の事を好きで居てくれてた、って事でしょう?』
「.....お見通しですか」
『全ては分からないよ、貴方ではないから
...でもね、アズール。契約書があるか無いか、形に残っているか残っていないか、で判断して良いものと、悪いものがあると思うの』
ぱっ、と手を離した。
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作者名：愛奈 | 作成日時：2021年1月2日 5時
