【twst】ゆっくり砂糖は溶けていく (ページ15)

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何故此処に来れたのかといえば、ナイトイレブンカレッジで行われる文化祭の日程が詳しく書かれた業務的な手紙が届いたんだもの。

真っ黒な便箋だけど、来い、って意味なのかな。なんて、クスッと笑ってしまった。

君らしい。変わっているようで変わっていない

「此処の文化祭は一味違うよな」

｢そうだな、やっぱVDCが...｣

正式には確か、全国魔法士養成学校総合文化祭、とか書いてあったな。どうやら当日は彼らが経営するモストロ・ラウンジはしていないらしいけれど。

移動販売、だっけ。あんまり覚えていないな

陸での歩行はちょっぴりよろけてしまう事はあっても、少しずつ慣れてくるものだ。この調子なら、数日は過ごせそう

それにしても広い。海は視界が開けてるから、余計に。キョロキョロと見回してみて、建物の方へ進んでみる。

早めに行かないと皆の展示が終わってしまうかも。焦る気持ちを押し殺して、開けた場所に出て、もう一度視線を左右へ移した。

?｢お嬢ちゃん、お困りかにゃあ。｣

『ッ、び、ッびっくりした...』

?｢おや、つい。君は何処へ行きたいんだぜぃ?｣

『...あ、ええっと。ナイトイレブンカレッジの、校舎へです。』

?｢ほーう。そんじゃあ此処を真っ直ぐ行って上へ登れば良いにゃ。｣

『え、本当ですか?ありがとうございます...』

?｢お嬢ちゃん、ここの生徒でも無いみたいだにゃあ。｣

『...?はい、そうです。少し遊びに.....
あッ、む、紫の猫さん、私、急いでいまして』

?｢そうかにゃ?じゃ、また何処かでだにゃあ。｣

『は、はい!ご親切にありがとうございました』

流れでその場を離れ、突如現れた彼が指さした方へ急ぐ。そりゃあ突然頭だけ現れたら怖いじゃない、仕方ない、よね?

礼儀作法がなっていないと怒られてしまうかも...ごめんなさい、お母様。
タタッ、と慣れない足つきで走る。

あの猫さんが言っていた通り、校舎内へと入ることが出来た。
一旦胸を撫で下ろして息を整える。
さっきから視線を感じるけれど...私、変身に失敗しちゃったのかな。彼を疑う気は無いし、調合を失敗したのを渡してくるとも思わない。

『(じ、時間が経っちゃってるからかな)』

きゅ、ッと縮こまって、丁寧にぶら下がった案内板を目で追いつつ、廊下を歩いていく。
全体的に黒でまとまっている校舎内は、新たなドキドキを与えてくる。

会うことが出来なかったらどうしよう...。

再び嫌な感情が広まる中、ひとつの教室の前を通った時だった