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東都タワーから出た時、私のスマホが着信音を伝え震えた。
「あ、ちょっと失礼しますね……もしもし？」
「ああ、彩葉。今いいか？」
「はい。どうかしたん？」
「今会議終わってさ。今日はもう直帰でいいらしいから、この後なら出かけられるぜ。予定空いてるか？」
「……え。実はもう一人で出て来てて。その後迷子になってしもた所を、高校の先輩に助けてもらって。今東都タワーに行ったところなんよ。」
「迷子？……ヒィ！はははは！お前流石だわ。」
「笑わんとってよ！」
「この後はその先輩と回る感じか？」
「うーん、先輩たちデートっぽくて。邪魔しちゃ悪いからそろそろ別れようかなって思ってたところ。」
「……だったらお前の今日の残り時間、俺にくれ。」
「え、松田さん？」
「今から東都タワー向かうからそこで待っとけ。」
「ちょ、ちょっと！」
反論する隙も与えずに、松田さんは電話を切った。電話を片手にため息を吐く。
「大丈夫？電話誰からだった？」
「……知り合いのお兄さんです。今から迎えに来るから待っとけって。先輩方、少ない時間やったんですけどありがとうございました！」
「さっき名前聞こえたんだけど……ひょっとして松田さんって警視庁の松田刑事？」
「正解です！父ちゃんに紹介してもろて知り合ったんですよ！」
「あの人かぁ……いいよ、来るまで一緒に待ってるぜ。」
「え、悪いですよ！」
「いいから。気にしないで。」
15分ほど待った頃。松田さんは車で東都タワーまで来た。
「彩葉！わりーな。…工藤の坊主じゃねーか！」
「ご無沙汰してます、松田さん。」
「彩葉が色々世話になったみたいだな。主に迷子で笑」
松田はサングラスの下でゲスい笑いを浮かべていた。
「松田さん！」
恥ずかしくて思い切り松田さんの腕をど突いた。
「わりー。じゃあ俺らはここらで。じゃあな探偵くん、彼女と仲良く！」
「な！」
そういうと松田は彩葉を車に乗せて去って行った。
2人が去って行った後、蘭は「意外な知り合いだったね。」と呟いた。
「そうだな。あの人なら彩葉ちゃんの淡い初恋もいつか晴らしそうだな。」
「新一！まさかさっきの話聞いてたの？」
「ハハ、聞いてたんじゃなくて聞こえたんだ。ワリーな！」
「ったくもう〜、内緒だからね。」
「ハイハイ。」
それにしても蘭は気づきていないが、彩葉ちゃんの思い人はきっとアイツだろうな。新一には察しがついてしまった。
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作者名：miya | 作成日時：2018年9月23日 9時
