*照史side ページ3
大がまだ中学生の頃俺はもう高校を卒業を間近に控えていた。就職も内定し家も離れる予定やった。
けどあれは今でも忘れもしない。
年末に久しぶりに夫婦水入らずで旅行することになったオトンとオカン。大と2人で家で留守番していた。帰りが遅いと心配してたら警察から電話があった。
旅先で車の衝突事故があり意識不明の重体だと。
俺は息がとまりそうやった。でも大がこれを聞いたら....?
俺はこたつでオトンとオカンを待ってる大の所に急いでもどると
大「オカン...オトン?」
テレビには無慈悲にもオトンとオカンのニュースが映り出されていた。
「大っ....」
俺は自分が泣いてる場合じゃないのに涙がとまらんくて大をギュッと抱きしめる。
大も最初は静かに泣いていたのにプツっとなにかがきれたのか声を荒げて泣き始めた。
もう2人涙でぐちゃぐちゃでずっと泣きやめることが出来なかった。
泣き疲れて寝てしまった大をベッドに運び俺はそれから親戚やら学校やらに電話をした。
これ以上俺がここで泣いたら大はどうなるんやと。
これからは俺が大を育てる。大が大人になるまでしっかりと。寂しい思いをさせないようにと。
オトンとオカンが亡くなった日から大は泣かなくなった。大は俺に迷惑かけたくないって思っとんたんやろ。ほんまにいいこすぎて逆に心配になる。
それから大は中学を卒業し高校に進学。高卒だった俺もなんとかやりくりして大に我慢させないように頑張って働く。
しかし高校2年のときやったか、大がすごく元気がない日があった。次の日も学校を休んだ。心配になり俺も有給をとった。
最初は何も言わなかったがポツポツと悩みを打ち明けてくれた。
どうやら好きだった男の子に女として見たことがないと言われたようだった。
許せんわ...こんなに可愛い妹を
それと同時におしゃれしたいさかんな時期やのに男の俺が育ててるから周りより流行りとかおしゃれに疎いのが申し訳なくなる。オカンがおったらちゃうかったんやろうな。
でもあの日から大は常に我慢を覚えてしまった。
どんな嫌なこと、わがまま。何から何まで大は我慢することに慣れてしまっていたのだ。
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作者名:葵 | 作成日時:2019年11月10日 21時