空白【おそ松さん】 (ページ4)

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「Aだよな！？うそ！！お兄ちゃんずっと会いたかったんだよ〜！」

おそ松お兄ちゃんは私をみるなりに薄気味悪い程の笑顔を浮かべて、手を握ってきた。

「いっ…」

ブンブンと上下に振られる腕。傍からみたら妹の帰りを待ち望んでいた優しいお兄ちゃんだろう。でも実際はそんなことがない。
その握られた手にはおそ松お兄ちゃんの爪が食い込み、私の指は赤く色づいていた。

それに気づいてないお母さんは微笑ましそうにその光景を眺める。

「じゃあお母さんご飯の支度するから、しばらくみんなで話しててね」

そういうとお母さんは台所へと消えていった。きっとお母さんなりの気遣いなんだろう。
勿論私は恐怖で全身が震えていたが。

「なんでお前帰ってきたの？」

お母さんの姿が見えなくなった頃、おそ松お兄ちゃんが口を開いた。さっきまでの優しいお兄ちゃんの表情ではなく、無感情で恐ろしくて昔のいじめっこのお兄ちゃんの顔をしていた。

「お母さんとお父さんに会いたかったから。それだけ。貴方達とは関わらないから」

震える声を抑えながらだした一声。

こわい。目の前のこの人が怖い。

「は？」

「なにその生意気な態度？あんなに身体に教えてあげたのにまだ分かんないのかな〜」

おそ松お兄ちゃんはそのまま私への距離を縮めてくる。

「高校生の頃はもうちょっといい子だったのに」

そのまま両手首を押さえつけられドアに向けて思いっきり身体をぶつけられた。

「っ…！」

突然の衝動に顔が歪む。

「今からお前の立場思い知らせてやるよ。2階に来い」

拒否したい。私は強くなったんだ。
それなのに、その恐怖感に打ち勝つことが出来ずに私は言うことを聞くしかなかった。