4 ページ22
地下一階につくと、そこには夢のような空間が広がっていた。
やったわこれ、フラグ回避できたパティーンじゃないですかー。
いくつもの有名店の間の通路をキョロキョロと辺りを見渡しながら歩き回る。
ヤバいな……見てるだけでもう、楽しすぎる……！！
「(Aの死んだ目が、あり得ないほど輝いている…！)」
……しばらく歩き回り、とある店の前で僕は足を止めた。
ここだ……！僕の勘がここだと言っている……！！
あ、でも……ま、いっか。
Aは、ようやく骸の後ろえりをつかんでいた手を離すと今度は骸の腕に急に抱きついた。
「なっ……！？」
骸が目を見開いてAを見つめるが、Aはそれに気づいていないかのようにさりげなく、骸を引きずるように店内へ入った。
ごめんよ骸……！ 仕方ないことなんだ、許せ！
と、目で訴えかけたが、骸は突然のことに表面上は平静を装っていたが、内心パニックになっていたため、気づいてはもらえなかった。
「いらっしゃいませー！ お好きな席へどうぞー」
かわいらしいピンク色の丈の短いメイド服を着た店員が笑顔で迎えてくれた。
あ、これかわいい子じゃないと似合わないやつね。うん、察したよ。
一方骸はこの体勢について何も言われないことを不思議に思っていた。
「(いや、もちろん言われたいわけではないが……もしかししてこれが普通なのか……？)」
「じゃ、ここでいいですねー」
僕は適当に、手前の二人がけのテーブルを指差した。
その不思議の国に出てきそうなかわいらしいテーブルに、骸と向かい合うようにして座る。
僕は席に着いた瞬間、シュバッとマッハでテーブルの上に立てかけてあったメニューを手に取る。
こここ、これは……！！！
やはり、僕の目に狂いはなかった……！
あああああっ！！ どれもおいしそうで、どれにしたらしいいのか……。
「(……Aの行動を理解しようとする僕が悪いのだろうか…。)」
……Aが地蔵のようにじっと動かず、ただただ穴が開くほどメニューを見つめ続けて早10分。
骸はその間、無言でこの甘ったるい空間に耐えていた。
そう。なぜかこの店には、Aと骸を除いて、公衆の面前でイチャつくカップルしかはびっこっていなかった。
「…すみませーん。このチョコレートパフェと抹茶パフェ、くださーい」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢うさぎ | 作成日時：2019年5月3日 19時
